「子どものために・・・」と我慢し過ぎないで。カサンドラ症候群から脱する「幸せになるための離婚」

話しかけても反応がない夫と、どう暮らしていけばいいのか――。アスペルガー症候群のパートナーと結婚し、家庭を築いていく難しさから次第にうつ状態(カサンドラ症候群)となったシニア産業カウンセラーの真行結子さん。自身の体験から、「自分らしい夫婦の形を実現させることが大切」だと気づかされました。そんな真行さんの著書『私の夫は発達障害?』(すばる舎)から、いい夫婦関係を保つヒントを連載形式でお届けします。

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幸せになるための離婚

「離婚」と聞くと、世間体が気になったり、敷居が高いと感じる方もいるでしょう。

子どもがいると、成人するまでは我慢しよう、結婚式までは我慢しよう......と夫婦関係を維持するためにがんばってしまう妻も多いかもしれません。

しかし、体と心を壊してしまうほどのつらい思いを抱えているのであれば、離婚という選択を視野に入れてもよいかもしれません。

離婚が幸せへのパスポートとなることも多くあります。

私はカウンセリングや講座の場で、やみくもに離婚をするのではなく、「幸せになるための離婚」を強くおすすめしています。

「幸せになるための離婚」を実現するポイントは三つです。

① 離婚後の生活に幸せなイメージを持つ
② 自分軸を持ち自己決定する
③ 計画的に進める

それでは、一つひとつ見ていきましょう。

① 離婚後の生活に幸せなイメージを持つ

「今の苦しくつらい状況から一刻も早く逃れたい」という気持ちだけで離婚することはおすすめできません。

「離婚後どのような暮らしをしたいのか」が明確になっていますか?

その暮らしでは、あなたがあなたらしく生きていますか?

幸せとは、自分が自分らしく生きていること、つまり自分を尊重していること。

ゴールは「幸せな暮らし」です。

離婚は、その幸せな暮らしを手に入れるための一つの通過点です。

自分自身と幸せな未来に焦点を当てましょう。

② 自己決定

自分の気持ちの整理がついていない段階での離婚もおすすめしません。

離婚に向けての話し合いがスムーズにいかず、つらくしんどい期間があるかもしれません。

そんなとき、周囲から諭され離婚を決めたり、迷いがあると、乗り越えられずくじけてしまったり、離婚後の後悔につながることがあります。

誰かのためではなく、自分の幸せのために離婚を決めていますか?

自らの意志で自らの方向性を決定するということは、過去のつらい体験をも糧とし、今後を生き抜く力を手にすることなのです。

③ 計画的に進める

離婚までの段取りや、離婚後の生活設計(住居、家計、仕事等)を具体的にシミュレーションしていますか?

どのタイミングで離婚しますか?

離婚の条件を具体的に考えていますか?

夫に、どのような形で離婚の意志を伝えますか?

夫が離婚に同意しない場合、離婚調停となる可能性もあります。

夫の収入、家庭の財政状況を把握していますか?

離婚後に生活ができるだけの収入の見込みを立てていますか?

お子さんがいる場合、子どもにはどのように伝えますか?

親権はどうしますか?

離婚に向けては、このような課題を一つひとつクリアしていくことが求められます。

情報収集し、必要に応じて公的機関や専門家に相談し、しっかり準備を進めていきましょう。

時間がかかったとしても、焦らず、着実な歩みこそが、幸せな離婚への近道なのです。

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カサンドラ症候群から回復するまでの同居・別居・離婚の3ケースを全5章が紹介されています

 

真行結子(しんぎょう・ゆいこ)
シニア産業カウンセラー。アスペルガー症候群のパートナーと結婚し、カサンドラ症候群に陥った体験から、発達障害(未診断も含む)のパートナーを持つ人を助けるカサンドラ支援団体「フルリール」の活動を開始。活動を通じ3500人以上の声に耳を傾け、600人におよぶカサンドラ症候群のカウンセリングを行う。

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『私の夫は発達障害?』

(真行結子/すばる舎)

夫婦関係に苦しんでいる…その苦しみは、単なる夫婦の関係悪化だけではないかもしれません。夫が発達障害特性を持ち、心身ともにダメージを受けてしまう「カサンドラ症候群」をご存じでしょうか。実例を基にしたモデルケースで解説しながら、カサンドラ状態を脱出する方法をまとめた一冊。あなたの家庭はどうなのかを確認し、自身の幸せの実現と、理想の夫婦関係を再構築するためのヒントに。

※この記事は『私の夫は発達障害?』(真行結子/すばる舎)からの抜粋です。
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