誰もが抱える仕事や人間関係の悩み。キャビンアテンダントでの経験から人材教育の講師に転じた三上ナナエさんは「全ては気遣いでうまくいく」と言います。そこで、三上さんの著書『仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン』(すばる舎)から、自分の魅力をアップし、対人関係もスムーズにする気遣いスキルを連載でお届け。自信をつけて「相手から信頼される気遣い」を身につけてみてはいかがでしょうか。
「○○さん、どうぞ」と料理を出してくれるお店
CAをしていた頃、マイレージの上級会員の方に対し、お客様の名前をお呼びしてご搭乗のお礼を伝えていました。
名前を呼ばれると、特別扱いされているような感じがして嬉しくなるだけでなく、心理的にも近くなったような感覚が起こるというのを以前聞いたことがあります。
名古屋にあるお寿司屋さんは、美味しいことに加え、「お客様への気遣い」で人気があることでも有名です。
実際にお伺いすると、「三上さん、どうぞ」と言いながらお寿司を出してくれたり、「三上さんにお茶をお持ちしてください」と店員さん同士で指示を伝え合ったり、常に名前を呼んでくれるのです。
お店の方全員が、お客様の名前を憶えているのにも感激しました。
それだけで歓迎されているような気持ちになり、心地よい時間を過ごすことができました。
「売る営業マン」は顧客を必ず名前で呼ぶ
ホテルやお店などでは、「ネームコール」つまり「お客様を名前で呼ぶこと」に力を入れているところが多くあります。
でも、ビジネスシーンにおいては、意識して相手の名前を呼んでいる人は意外と少ない気がします。
以前、営業マンに同行し、オフィス機器の説明をする仕事をしていたときのこと。
私は「売る営業マン」に共通する法則を発見しました。
それは、お客様を「役職名」や「肩書き」だけで呼ばないということです。
必ず、「佐藤社長」とか「鈴木部長」など苗字を省略せず、会話の中で何度も繰り返しているのです。
このように、親近感が湧くコミュニケーションを取ることで、お客様の中にも、無意識のうちに、単なる営業担当者ではなくビジネスパートナーというイメージが刷り込まれていくのかもしれません。
お客様が、その営業マンとにこやかに話しているのがとても印象的でした。
「呼び方」を意識するだけで、相手との距離感はグッと縮まります。
下の名前で呼ぶときは「よろしいですか?」を添える
私は、プライベートでは、距離を近づけたくて知り合った人を極力"下の名前"で呼ぶようにしています。
ただ、これにはちょっとした気遣いが必要です。
あるとき、初対面の方を下の名前で呼んでいたら「私、下の名前で呼ばれるの、あまり好きじゃないんですよね......」と言われてしまったのです。
今までこちらの自己満足でやっていたことに気づき、恥ずかしいやら、悲しいやら、穴があったら入りたい気分になりました。
この経験をしてから、下の名前で呼ぶ前には必ず一言、ストレートにお聞きするようにしています。
「○○さんって呼んでもよろしいですか?」
「お友達には何と呼ばれていらっしゃいますか?」
このように聞くのが気遣いです。
いきなり下の名前で呼んでしまうと、馴れ馴れしく感じることがあるので、相手もこの一言があると安心できますよね。
相手の反応をしっかり見ながら、距離を近づけたいという思いを伝えていきましょう。
間違っても「自己満足」にならないように注意したいですね。
いずれにしても、「名前で呼ぶ」というのは絶大な効果があります。
相手への配慮や気遣いを忘れないようにしつつ、ぜひいろんな場面で相手の方を名前で呼んでみてください。
相手との距離が縮まっていくのがわかりますよ。
【最初から読む】気遣いできないと評価がゼロも!?気遣いで変わる理由
元ANAのCAで4500回のフライトを経験した著者が会話や見た目などシーンごとに使える37の気遣いのコツを全5章で解説します