誰もが気になる家計の節約、どうすれば長続きするでしょうか。きついやり方は耐えられず、かえって逆効果です。ここでは、経済ジャーナリストの荻原博子さんに、頑張らずにできる節約のコツを聞きました!
無駄の原因をチェック!読者の1カ月家計簿診断
年金生活の世帯は、どういった家計で、どのようなお金の使い方をしているのでしょうか?
ここではある読者にご協力いただき、 家計簿を徹底解剖しました!
山田聡子さん(仮名)
神奈川県在住の70代後半女性。80代の夫と持ち家で暮らしている。夫婦ともに年金が主な収入源。常に節約を心がけているが、将来的なお金の不安もあるようで...。
現在は持ち家で夫婦水入らずの生活
山田さんの家計簿
収入:6万5000円(自分)+23万円(夫)=29万5000円/月
支出:毎月の生活費=18万8000円
住居費:0円
食費:4万円
水道代:5000円
電気代:6000円
ガス代:7000円
固定電話代:3000円
携帯電話代:9000円
通信費(インターネット):0円
保険料:5万2000円(民間+後期高齢者医療制度)
医療費:1万円
自動車関連費用:0円
交通費:3000円
衣料費:3000円
日用品費:1万円
趣味・娯楽費:3000円
NHK・新聞・雑誌など:7000円
その他:1万円
使途不明金:2万円
貯蓄:10万7000円/月
1年間の特別支出 =17万円
・家族のイベント(誕生日のプレゼントなど):5万円
・旅行代:0円
・冠婚葬祭費:2万円
・税金(固定資産税など):10万円
【悩み】食費①
宅配サービスを使うのは問題ない?
「カタログから欲しいものを選ぶので買い過ぎがない気がします」という食材の宅配。これって正解?
【悩み】食費②
2人分で4万円の食費って平均的?
宅配に加え、スーパーも利用。「献立を決めてから買うので無駄遣いはないと思いますが、どうでしょうか?」
【悩み】サプリメント代
習慣になっているけどこれって本当に必要?
「年に数回、まとめて安く買っていますが大きな出費です」というサプリ代。思い切ってやめるべき?
【悩み】携帯電話代
どうすればこれ以上安くなるか分からない
「娘の家族割に入れてもらい安く済ませています」というケータイ料金。これ以上下げることはできそう?
【悩み】使途不明金
毎月何に使ったか分からない支出が...
「娘から預かるペットやガーデニングにかかる費用を抜いても、それ以外に不明の出費が毎月あります」
尽きない家計の悩み...改善点はどこにある?
80代の夫と持ち家に暮らす山田聡子さん(仮名・70代)は、年金が主な収入源です。
毎月の家計簿について聞いたところ、「支出は夫の年金の範囲内に収め、私の年金は手を付けません」と、かなりの堅実派。
一方で、「月々の食費はこれくらいでいいのか、30年近く使っているサプリメントはもったいなくないか」といった悩みもあるようです。
これに荻原さんは、「少なくとも家計は赤字でなく、まったく問題ありません。サプリメントも、まとめて安く買っているなら買い物上手です」と、そのやりくりに太鼓判を押します。
「食費や通信費など、毎月の予算を支出ごとに決めておき、超えないようにやりくりすると、節約感覚が磨かれます。それに、余ったお金を貯蓄に回すのではなく、貯蓄額を決めてから、毎月のやりくりをすること。お金に対する漠然とした不安がなくなり、年金生活でも自分が自由に使って良いお金が分かるので、安心できます」
「赤字家計でないのは立派です。ただし、細かい点は改善の余地ありです!」
[CHECK-1] 食費はネットスーパーにまとめると衝動買いが減る
夫婦2人で月4万円の食費は平均的で、多くありません。今後も予算内でやりくりしてください。いまはスーパーと宅配を使っていますが、ネットスーパーにまとめると、さらに無駄遣いは減ると思いますよ。
[CHECK-2] 固定電話は本当に必要なのか考えなおすこと
少し気になるのは、固定電話です。ケータイを持っていて、普段からファックスを必ず使うなどよほどの理由がないなら、解約してしまっても構わないでしょう。これだけでも年間3万円以上の節約になります。
[CHECK-3] ケータイは会社を変えるとさらに安くなる
家族割は◎。大手の携帯電話会社をお使いのようですが、いまより安くなるプランはないか確かめ、使わない有料アプリがあるなら解約を。格安の携帯電話会社も検討しては?
[CHECK-4] サプリのまとめ買いは◎ 家計に悪影響でないならOK
長年使っているサプリメントは愛着もあるでしょう。まとめて安く買っていますし、何より家計を圧迫しているわけでもありません。健康をキープすることが節約には重要です。
[CHECK-5] 細かい支出はメモに書き出しておくと忘れない
何に使ったのか分からない支出があると、気持ち良くありません。毎月「予備費」の予算を取っておき、そこから使うたびに内容を書き出して、支出を整理していくことです。
取材・文/大正谷成晴 撮影/関 大介 イラスト/木波本陽子