新料金プランは若者向け...? 森永卓郎さんが考える「スマホ料金引き下げの落とし穴」/人生を楽しむ経済学

定期誌『毎日が発見』の森永卓郎さんの人気連載「人生を楽しむ経済学」。今回は、注目を集めている「携帯電話料金の引き下げ」についてお聞きしました。

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新しい料金プランは若者向け

菅総理肝いりの「携帯電話料金の引き下げ」が動き始めました。

総務省が10月27日、携帯電話に関する「アクション・プラン」を発表したのです。

これに呼応する形で、ソフトバンクはサブブランド(大手各社が運営する格安サービス)のワイモバイルで、12月下旬から、通信20GBと10分以内の国内通話かけ放題がセットとなった「シンプル20」のプランを、月額4480円で提供すると発表しました。

auも、サブブランドのUQモバイルで、2021年2月から、通信20GBで月額3980円の「スマホプランV」の提供を始めると発表しています。

10分以内の国内通話かけ放題のプランを加えると月額4680円になります。

サブブランドを持たないNTTドコモは、ドコモ本体で2021年3月から、通信20GBと5分以内の国内通話かけ放題がセットになったプランを、月額2980円で提供するという衝撃の発表を12月3日に行いました。

多くの利用者が6000円から7000円のスマホ利用料を支払っているなかで、ずいぶん安くなると思われるかもしれません。

ただ、そこには落とし穴があります。

割安になる料金プランは、20GBという大容量を使用する人向けなのです。

スマホ料金の国際比較で、日本が割高になっているのは、大容量のプランだからです。

毎日、ユーチューブなどの動画をみる若者ならともかく、中高年はそんなに多くのデータを使いません。

ちなみに私は、メールやLINEなどで、頻繁にスマホを使っていますが、動画をみないので、月間のデータ使用量は、3GB程度です。

その程度のデータ使用量であれば、新しい料金プランの実施を待たずに、いますぐ格安スマホに乗り換えるべきです。

3GBであれば、月額料金は2000円程度の会社もあります。

私はスマホを会社用とプライベート用の2台使っているのですが、プライベート用は格安スマホです。

実際に使っていて、問題を感じたことはありません。

ドコモ回線を借りてサービスを提供している会社が多いので、問題があるはずがないのです。

ただ、料金格差があるのに、なかなか格安スマホへの乗り換えが進まないのは、スマホの加入や切り替えが面倒だからでしょう。

私は自分でやっているのですが、スマホの端末を切り替えるときには、アプリをたくさん入れていることもあって、作業で半日がつぶれてしまいます。

また、格安スマホは、申込みをインターネットで行う場合も多いので、そのことも切り替えをためらう原因になっていると思われます。

乗り換えをスムーズにする奥の手がある

スマホの設定がよく分からない人にとって、いちばんよい方法は、信頼できる若者に手伝ってもらうことです。

特にスマホ決済など、お金が動くアプリを使う場合には、信頼できない人に設定をまかせることはできないからです。

スマホ決済という得体のしれないものは、使わないと言う方も多いかもしれません。

ただ、私は、使わないのは、もったいないと思います。

私は、ペイペイ、LINEペイ、楽天ペイ、auペイ、d払い、メルペイの6つを使っています。

何故かと言うと、それぞれのスマホ決済が、日常的にキャンペーンを行っていて、割引やポイント還元が得られるからです。

対象となる店や期間が限られていることが多いのですが、2割から3割の還元が得られることもあって、家計の節約に大いに役立っています。

また、格安スマホを2台目のサブ機として持つというのも、一つの方法だと思います。

電話をかけなければ、月額1500円台の負担でスマホを持つことは可能です。

現に私はそうしています。

スマホを2台持つことのメリットの一つは、連絡手段の常時確保です。

スマホを1台しか持っていないとき、私は道に落下させて壊しました。

至急連絡を取りたくて、公衆電話を探したのですが、いまは街から公衆電話がほとんど消えているという事実に愕然としました。

また、スマホの修理中や、なくしたときのバックアップも必要です。

修理中は、代替機を借りることができるのですが、スマホ決済などさまざまなアプリは、設定に時間がかかるので、短期利用の代替機に設定することがむずかしいのです。

そんなとき、普段から使っているサブ機を持っていれば、日常生活をそのまま続けることができるのです。

さらにサブ機を持つことの意外なメリットは、割引を2倍使えることです。

スマホ決済やアプリのクーポンは、利用額や回数に制限がかかっていることが多くなっています。

2割引きにしてくれるけれども、割引の上限は2000円までといった制約です。

そうした制約に対しても、サブ機を持っていれば、割引を2倍使うことができるのです。

ですから、まず格安スマホを契約して、アプリを少しずつ設定していき、そのなかで、やはり2台も必要ではないと感じたら、大手のスマホを解約して、格安スマホに一本化するというのが、スムーズな移行方法になるのではないでしょうか。

【まとめ読み】森永卓郎さん「人生を楽しむ経済学」記事リスト

 

森永卓郎(もりなが・たくろう)
1957年生まれ。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。東京大学卒業。日本専売公社、経済企画庁などを経て現職。50年間集めてきたコレクションを展示するB宝館が話題。近著に、『なぜ日本経済は後手に回るのか』(角川新書)がある。

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『なぜ日本経済は後手に回るのか』

(森永 卓郎 森永 康平/KADOKAWA)

新型コロナウイルス感染症によって生じた日本経済の失速。その原因は長年続いている「官僚主義と東京中心主義」にあると、森永さんは分析します。では今後どうすれば感染拡大を抑え、経済的苦境を脱することができるのか――。豊富な統計やデータを基に導き出された、未来への提言が記された一冊です。

この記事は『毎日が発見』2021年1月号に掲載の情報です。

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