「どんな風に話すかで人生は変わる」と言うのは、全国で多数の講演を行う人材育成のプロ・永松茂久さん。そんな永松さんが会話のノウハウをまとめた著書『人は話し方が9割』(すばる舎)から、「好印象を与える会話のコツ」を抜粋してお届けします。
話のうまい人が使っている「拡張話法」とは?
人が求めている3つのこと。
それは、「人は誰もが自分のことが一番大切であること。そして自分に一番興味がある」ということ。
2つめが「本来誰もが自分のことを認めてほしいし、自分のことをわかってほしいと願っている」ということ。
3つめが「人は自分のことをわかってくれる人を好きになる」ということです。
うまくいく人はここをしっかりと理解して、人とコミュニケーションを取っています。
その上で、うまくいく人たちが自然と使っている話し方のテクニックをご紹介しましょう。
「拡張話法」です。
噺家のように、自分のトークだけで人を惹きつけていくのは至難の業です。
しかし、拡張話法を使えば、相手が自分で自分の話を広げていきます。
あなたはただ相手の話を聞きながら、それを広げていくだけで、相手に好かれ、結果的に「またこの人と会いたいな」と好感を持たれるのです。
ではさっそく、「拡張話法」の流れについて説明いたしましょう。
「拡張話法」には順番があります。
感嘆→反復→共感→称賛→質問です。
①感嘆...相手の話を聞いた時に受ける感銘の表現(相手)
「こんなことがあったんだよ」→(自分)
「へー♪」
「ほー!」
「えー!?」
「うわあー!!」
「わー♡」
「そーなんですかー!」
会話のうまい人は、この感嘆詞を相手の話に合わせてうまく使いこなしています。
感嘆のポイントは2つです。
まずは、言葉の後の「!」「?」「♡」です。
文字で表現するのは難しいのですが、自分の言葉の終わりに絵文字をつけるように感情を込めます。
もしあなたがコミュニケーションが苦手な場合は、感嘆"×10倍"くらいの感情を込めてみてください。
2つめのポイントが「ー」。
感嘆詞を伸ばすことです。
この「ー」の部分に人は感情が込もります。
試しに「そうなんですか」と「そうなんですかー」を口ずさんで比べてみてください。
「ー」の部分に感情が乗る感覚がわかると思います。
この感情が相手に伝わるのです。
感嘆詞は強烈な力を持っています。
この感嘆詞を使った瞬間、相手の話に一気にスイッチが入ることになります。
②反復...相手の話を繰り返す
「ぼく、冬はスノボざんまいなんだ」→「へー♪スノボですか」
「私、最近彼氏とうまくいってなくて」→「そっかー...彼氏とうまくいってないんだね」
「最近、ジョギングを始めたんだ」→「わー、ジョギングかあ、いいね!」
「皇居ランとかも、やってみようかなあって思って」→「皇居ラン、いいね。私もやってみたい♪」
「私、カレーが大好きなんです」→「お、カレー、いいですね♪」
「スパイスをたくさん揃えて、自分で作るんですよ」→「スパイスたくさん、めっちゃ美味しそう♪」
このように、話を反復することで、相手は「うん、そうなんだよ。実はこんなことがあってね......」と、次の話をしやすくなります。
③共感...相手の話に感情を込めて理解を示す
「わかります」「大変でしたね」「よかったですね」「つらかったね」「よくがんばったねえ」など、相手の感情に寄り添う表現。
相手の話に深くうなずき、「相手と同じ表情」をしながら、時に勢いよく、時に静かに言います。
④称賛...相手を評価する
「素敵♡」「すごい!」「さすがだね♪」など。
感嘆詞の時にもお伝えしましたが、その言葉に感情を乗せ「」の中にマークを"×10倍"くらい入れるイメージで伝えてください。
⑤質問...相手の話を中心に展開させていくためにその後を追いかけて聞く
「それで、それで?」「そこからどうなったの?」「ねえ、もっと聞かせてよ」「今は大丈夫?つらくない?」などが質問にあたります。
いいタイミングで質問が入ると、相手の話にどんどんドライブがかかっていきます。
そして相手は無理なく自然に話を展開することができます。
これら拡張話法を使う最大の目的は、相手の話を「広げる」ことです。
メインで話しているのは相手で、あなたが聞く側だとしても、主導権はあなたにあると意識してください。
人は、基本的に自分のことをわかってほしい生き物です。
拡張話法を使うと、相手は気分よくたくさん話してくれます。
その「気分よく、たくさん話せたな」という印象が、「また、会いたい」につながるのです。
【最初から読む】「否定しない空間」を作れば誰でも上手に話せる
人を動かす、会いたいと思わせる、嫌われないなど37の会話のコツを全4章で解説しています