眠れない、だるい...といった年齢とともに増える体の不調。「薬膳なら解消できます」と言うのは、テレビで活躍しながら国際薬膳師の顔も持つ麻木久仁子さん。そんな麻木さんの著書『生命力を足すレシピ』(文響社)から、「薬膳の基本」や疲れにくくなる「薬膳レシピ」をご紹介。今日の献立にひと工夫を。
「だし」は「わざわざ」作らなくてていい
薬膳を始めるまで、私はいわゆる市販のだしの素を使っていました。
忙しいときに手間のかかっただしをとるなんて、面倒くさい。
そんな余裕があるなら一品増やすほうが良いと思っていたのです。
「だしは愛情。だしをとる手間を省いた料理には愛が足りない」というような言説にも反発を覚えました。
そんな風に愛情を形にして見せなくてはならないなんて、おかしな話です。
でも、薬膳を学び、「だし」ってもっと簡単なことなんだ!と気づいたときから、だしをとるのが日常になりました。
誰かに認めてもらうためにだしをとるなんてナンセンス!
おいしくて体にいいものを楽しく食べたいだけ。
それだけでいい!
うちは料亭ではないのだから、一番だし二番だしなどと難しいことも言わないで、簡単な、日常生活で実践できるだしを使えばいい!
そう思ったらラクになりました。
舌の感覚もどんどんそれに慣れていって、今では自然にとった優しい味のだしに、体も心も救われています。
私がいつも実践している簡単なだしの取り入れ方をご紹介しますので、「これならできそう」というものからぜひ試してみてください。
つけるだけ!和風だし
夜、ウオーターポットなどに、昆布1枚(5cm角)と干し椎茸2個をポン。
そこに水を500ml注いで、冷蔵庫で一晩おけば、朝には水出しのおいしいだしが完成です。
だしの出た昆布と干し椎茸は、刻んでお味噌汁や炒め物の具にもなります。
手羽先でいい!鶏だし
「鶏だし」といえば「鶏ガラ」を使ってとるイメージですが、ふだんの暮らしで取り入れるのはちょっと大掛かりですよね。
でも、スーパーでお手頃価格で売っている鶏手羽先や手羽元を使えば、簡単です。
まず、長ねぎやしょうがの切れ端とともに鍋に入れ、水から煮出します。
肉がホロッとしてくるまで20分くらい弱火でコトコト。
骨からいいお味が出ます。
こうして時間のあるときにとった鶏だしは、保存袋やペットボトルなどに小分けして冷凍保存できます。
だしをとったあとの肉はそのまま冷凍しておけば、忙しい日に甘辛く炒めたり、カレーにポンと入れたり、下ごしらえの済んだ具材として使えるので、一石二鳥です。
ふり入れるだけ!かつおだし
削り節ではなく、粉末のかつお節粉。
これなら、だしをとるなんて考えなくても、お味噌汁はもちろん、いろいろな料理にそのまま入れるだけでOK。
レンジでチンするだけ!かつおだし(その2)
耐熱のポットや急須の中に、削り節と水を入れて、レンジでチンするだけです。
残ったらポットごと冷蔵庫へ。
レシピに(濃いめ)と書いてあるだしは、いつもの倍くらいの量を入れて、ガツンと濃くしてほしいものです。
料理に合わせて、使い分けましょう。
放り込むだけ!野菜だし
保存袋に、大根やにんじんの皮、とうもろこしの芯、キャベツの芯など、いわゆる「野菜くず」をポンポン放り込んで、冷凍庫に入れておきます。
袋いっぱいにたまったら、水から煮出して、野菜たちがクタッとなるまで煮込みます。
野菜は季節によって変わるので、一年の移り変わりを野菜だしの味の変化で楽しめます。
症状別や季節に合わせた70の薬膳レシピを集めた料理本。食材図鑑など薬膳の基本が身に付きます