眠れない、だるい...といった年齢とともに増える体の不調。「薬膳なら解消できます」と言うのは、テレビで活躍しながら国際薬膳師の顔も持つ麻木久仁子さん。そんな麻木さんの著書『生命力を足すレシピ』(文響社)から、「薬膳の基本」や疲れにくくなる「薬膳レシピ」をご紹介。今日の献立にひと工夫を。
ターメリックが血流を良くする「ポークカレー」
中医学では、血の流れを良くすることを「理血(りけつ)」というのですが、なかでもターメリックは「破血(はけつ)」とよばれるほど、血行を良くする効果の高いスパイス。
肩こりなどの痛みを取ってくれるので、血流の不調には一年中おすすめです。
ただし、基本的に薬膳は「過ぎたるはなお及ばざるが如し」。
体が弱っている方にとっては刺激が強すぎることもあるので、このカレーは優しい味に仕上げました。
●ルーから作りたい方に
【カレールーの材料】2人分
【食材】
・たまねぎ...1と1/2個(300g)
【調味料】
Ⓐ オリーブオイル...大さじ2、酒...大さじ、にんにく(すりおろし)...小さじ1、塩...小さじ1/2
・バター...25g
・小麦粉...大さじ3
・カレー粉...大さじ2
・ケチャップ...大さじ2
【作り方】
① たまねぎはみじん切りにし、レンジで7分ほど、しんなりするまで加熱する。
② フライパンにⒶとたまねぎを入れて強火にかけ、茶色くなるまで炒める。
③ バターと小麦粉を入れ、粉っぽさがなくなるまで弱めの中火で炒める。
さらにカレー粉を入れ、香りを立たせる。
④ ケチャップを加え、水気がなくなるまで炒める。
●基本のレシピ
【ポークカレーの材料】2人分
【食材】
・豚薄切り肉...200g
【調味料】
Ⓐ カレールー4人分、かつおだし(濃いめ...)400ml、野菜ジュース(市販)...200ml、はちみつ...大さじ1、しょうゆ...大さじ1、ウスターソース...大さじ1
・オリーブオイル...小さじ2
【作り方】
① 豚肉は食べやすい大きさに切り、塩(少々)をふっておく。
② 鍋にオリーブオイルを入れて熱し、豚肉に軽く焼き目がつくまで炒め焼きする。
③ Ⓐを入れ、とろみがつくまで煮込む。
④ 塩(小さじ1)で味を調える。
●春夏秋冬のアレンジレシピ
<春>菜の花カレー
変える:豚薄切り肉200g→牛薄切り肉300g(塩少々をふる)
足す:菜の花束(2cm長さに切る。②で炒める)
春は芽吹きの季節。
ですから自分の体にも芽吹いた食材を与えてあげましょう。
ほんのり苦味があるものは、じつはデトックス効果が。
生命力を巡らせる力にも富んでいます。
牛肉の滋味深さを味わうと、滋養を舌から実感できます。
<夏>肉なし豆カレー
変える:豚薄切り肉→ミックスビーンズ(最後に加えて軽く煮る)、オリーブオイル小さじ2→ナシ
豆カレーは、蒸し暑いインドでもよく食べられています。
なぜなら豆類は、水の流れを良くするから。
とることによって余分な水が排出され、解毒にもなります。
複数種類の豆を使うと、いろいろな豆の力をもらえるので、ミックスがおすすめ。
<秋>牡蠣カレー
変える:豚薄切り肉200g→牡蠣300g(洗って水気を拭いて小麦粉をはたく。オリーブオイルで表面を軽く焼いて取り出し、最後に戻して2分煮る)
足す:しめじ1パック(小房に分け、オリーブオイル大さじ2で軽く炒めてから、Ⓐを入れる)
秋の乾いた空気でも、体を潤してくれる牡蠣。
血も補い、のぼせやほてりにも良く、とくに更年期の女性にはおすすめ。
片栗粉をまぶして軽くもみ、流水でよくすすぐと汚れが落ちます。
<冬>ラム肉のニラカレー
変える:豚薄切り肉→ラム肉(切ったあと牛乳100mlに1時間つける。塩少々をふる)
足す:ニラ1束(3㎝長さに切る。最後に入れ、ひと煮立ちさせる)、カッテージチーズ大さじ2(カレーにのせる)
ラム肉は、肉類の中では珍しく、体を温める「温性」の食材。
独特のクセがありますが、カレーなら食べやすいです。
また、ニラも体をポカポカにする青菜。この組み合わせで血行も良くなり、食欲が増進します。
ラム肉は「陽」が強いので「陰」のチーズを合わせてバランスを。
症状別や季節に合わせた70の薬膳レシピを集めた料理本。食材図鑑など薬膳の基本が身に付きます