日本人にとって、最も身近な宗教である仏教ですが「葬祭時のマナーは心もとない...」という人も多いのでは? そこで、仏教関連の著書を数多く執筆する長田幸康さんの著書「これだけは知っておきたい はじめての仏教」から、「お布施の相場」や「墓じまい」また「仏教の歴史」など「これだけは知っておきたい知識」をご紹介します。
【直葬】
樹木葬、散骨......多様化する葬儀のスタイル
諸行無常の言葉のように、人の価値観は移り変わり、葬儀のスタイルも変化している。
とくに近年は、宗教色の薄い葬儀が増え、多様化が進んでいる。
「直葬(じきそう)」「火葬式」は通夜や葬儀・告別式といったセレモニーを省き、火葬だけを行なうシンプルな弔い方。
遺体を安置所から火葬場に運び、そのまま火葬する。
お坊さんが招かれ、火葬炉の前で短時間の供養を行なうこともある。
もともとは経済的に余裕のない遺族が行なうことが多かったが、近年では生前から希望を伝えるケースも増えている。
遺族に負担をかけたくないという思いからだろう。
しかし、親族・知人などが故人を偲ぶ機会がないため、後々「寂しい」などと言われてしまうこともあるようだ。
いくら故人の遺志であっても、シンプルすぎて受け入れられない人もいるから難しい。
こうしたデメリットを補えるのが「一日葬」だろう。
通夜を省き、葬儀・告別式と火葬を一日で行なう。
これなら最後のお別れをすることができる。
いずれにせよ、火葬後の納骨をどうするかなどを、菩提寺に相談してから葬儀の方法を決めたほうがよい。
火葬後に海に散骨したり、土に還す「自然葬」も注目されており、「自然に還りたい」と生前に希望する場合が多い。
このうち、樹木(シンボルツリー)を墓碑にみたて、まわりに散骨するのが「樹木葬」だ。
墓碑があるため、故人を偲ぶよりどころにもなる。
新しいお葬式スタイル
直葬 火葬式
亡くなった場所(病院の安置所など)から直接火葬場へ運び、火葬する。火葬炉の前で招かれた僧侶が読経などの供養をすることも
一日葬
通夜を省略し、葬儀・告別式・火葬を1日で行なう
密葬
家族・親族やごく親しい人だけで葬儀を行ない、後日一般の参列者を招いて本葬を行なう
家族葬
家族や身内など親近者のみで行なう
樹木葬
火葬後に墓石の代わりに樹木(シンボルツリー)を墓標とする。墓地として認められた土地でのみ可能
散骨
火葬後の遺骨を粉骨し、撒くこと。海洋散骨の他、故人の思い出の地(自治体に認められた場所)に撒いたり、宇宙に打ち上げたりする
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