「また電話?」の一言で怪しい電話をシャットアウト!振り込め詐欺から身を守る「小さなウソの質問」

新型コロナウイルスに便乗するものも出てくるなど、進化し続ける「詐欺」の手口。そんな詐欺や悪徳商法に詳しいルポライター・多田文明さんの著書『だまされた!「だましのプロ」の心理戦術を見抜く本』(方丈社)から、現代の詐欺から身を守る方法を抜粋してお届けします。

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振り込め詐欺には「小さな嘘」の質問が身を守る有効な方法

現代詐欺は、組織でやって来る。

それに対して、一人だけで身を守ることはきわめて難しい。

とくに高齢者は次々に現れる新手の詐欺に対して、すべての事象に対処できるはずもない。

そこで家族、近隣、地域、コミュニティが一丸となっての見守りが大事になってくる。

そこで知っておいてほしいのは、だます側のミスを見逃さないことだ。

悪質な勧誘者がすべて弁の立つ人ばかりではないことはすでに述べたが、成功の道しるべとなるマニュアルという存在によって、彼らはいっぱしのだましに長けた人間になる。

猛威を振るう振り込め詐欺は「電話をかける役」「金を引き出す役」「電話や名簿の調達役」など、個々の専門分野に分かれた巨大な組織からなっている。

とくに、電話をかけるグループは国内だけでなく海外にも存在して、金を受け取るためのグループも全国津々浦々に存在している。

それゆえに、こうした巨大組織を円滑に動かすためには、誰もが内容どおりにおこなえば金をだまし取れるというマニュアルの存在が欠かせない。

マニュアルこそが、組織を動かす柱になっている。

ただし、大掛かりな組織ゆえにヒューマンエラーが出てくる。2018年2月に、40代の暴力団幹部ら男4人が警視庁に80代女性からキャッシュカードを詐取した疑いで逮捕された。

そのきっかけになったのが、詐欺の名簿や、なりすましの手法でだます方法が書かれたマニュアルである。

それをコピーする際に、コンビニにそれらの原本を置き忘れ、ここから足がついた。

組織としての連携の隙間に彼らの〝ポカ〞が出てくる。

同年8月9日の昼に、市役所職員になりすまして高齢女性からキャッシュカードを詐取したとして、兵庫県警に20代前半の男性が逮捕された。

この時、捜査員がおかしいと直感して職務質問したのが逮捕のきっかけなのだが、それは詐欺犯のいでたちであった。

男は、猛暑の最中にマスクをかけてスーツ姿という暑苦しい恰好だった。

確かに、マニュアルには市役所職員や警察になりすますためにスーツの着用が義務付けられており、後に防犯カメラなどから足がついて逮捕されないようにマスクを着用することが奨励されている。

だが、この猛暑の中では、この恰好は逆に目につく。

おそらくマニュアルには「夏の役所の服装はクールビズ」などという発想はなく、いつもどおりの内容を実行したのであろう。

その結果、犯人は逮捕された。

この他にも、受け子を見張る役の人たちが詐欺に関するおしゃべりをして、それを捜査員に聞かれて逮捕につながった事例もある。

大きな組織ほど、ヒューマンエラーは出てくるものなのだ。

今や手口は巧妙になり、高齢者自身だけでは被害を防ぐことは難しい状況で、ATMでの高齢者の電話内容に聞き耳をたてるなど、周りの人たちの見守りと気づきという行動で、この詐欺組織のミスを見抜くことも大事である。

ただし、巨大な詐欺組織に対して、私たちは数の力ではとうてい立ち打ちできない。

だが、彼らが詐欺の組織力といった力技で攻めてくるとすれば、私たちは接近戦、1対1の戦いを挑むという道がある。

巨大なショッピングモールだけが一人勝ちするのではない。

地域に密着したコンビニやアフターケアを万全にした個人商店だって、戦い方しだいでは十分に勝機はある。

ゆえに、私たちも数で攻めてくる詐欺組織に対しては、だましを見抜くという一対一の接近戦で身を防ぐことが大事になる。

息子から電話がかかってきたが声が少し違うなと感じた時、みなさんはどのような行動に出るだろうか。

「本当に、お前なのか?」と尋ねるかもしれない。

すると、相手は「そうだよ。カゼをひいたんだ。それで声が変かもしれない」などと、マニュアルに沿った形で不審がられた時の対応をしてくるだろう。

こうしたありきたりな返しの質問ではダメなのである。

マニュアルには存在しない、不意打ちの形で質問する。

もし、ひさしぶりにかかってきた息子からの電話であれば、「先週かけてきたけど、また、かけてきてどうしたの?」と尋ねる。

その逆に、週に1度は電話をしてくる息子ならば、「ひさしぶりの電話だね。元気だった?」と尋ねてみる。

それに対して「先週、電話しただろう」と言ってくれば、本物の息子である。

それに対して、この質問をごまかすような答えをしてくれば、100%詐欺電話を疑ってよい。

あえてウソの話題も混ぜて尋ねて、反応をみてみる。

「本当に、お前なのか?」というまっすぐな質問ではない、ひねりを利かせたものにする。

私たちは、相手のマニュアルにはないディティールにこだわっただまされないための対応策を講じてこそ、迫りくる危険を察知することができるのだ。

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「また電話?」の一言で怪しい電話をシャットアウト!振り込め詐欺から身を守る「小さなウソの質問」 114-H1-damasareta.jpg詐欺をする側の手口や心理、現状、そして「電話の切り方」など身を守る術が全7章にわたって網羅

 

多田文明(ただ・ふみあき)
1965年北海道生まれ。ルポライター。「キャッチセールス評論家」「悪徳商法評論家」「悪質商法コラムニスト」「潜入ルポライター」などとも称される。主な著書は「キャッチセールス潜入ルポ~ついていったらこうなった」(彩図社)、「電話にでたらこうなった!」(ミリオン出版)など。

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『だまされた!「だましのプロ」の心理戦術を見抜く本』

(多田文明/方丈社)

「オレオレ詐欺」や「還付金詐欺」など、時代は変われど減らない詐欺犯罪。最新の手口や詐欺師の心理など、著者が実際にだまされてみてわかった「だましのプロ」から身を守るノウハウが詰まっています。

※この記事は『だまされた!「だましのプロ」の心理戦術を見抜く本』(多田文明/方丈社)からの抜粋です。

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