「発酵食のある暮らし」のススメ/95歳の料理研究家・鈴木登紀子さんの食卓

発酵食品が腸内で有用な働きをすることは知られています。ぜひ、積極的に食べて健康長寿を目指しましよう。今回は、95歳の料理研究家「ばぁば」こと、鈴木登紀子さんの「食事」を拝見させていただきました。

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みそ、しょうゆ、かつお節。基本の発酵食品こそ大切よ!

95歳にしてテレビや雑誌で活躍するだけでなく、自宅で料理教室も続けているばぁばこと、鈴木登紀子さん。一体、どんな食事をしていれば、そんなに元気でいられるのでしょう。

「いまでも毎日3食、たっぷりいただきますよ。食いしん坊だから、おやつも食べるの(笑)。作りますから、自宅にいらして」

その言葉に甘えてご自宅に伺うと、キッチンには朝早くから3人のお弟子さんにテキパキ指示をしながら料理をするばぁばの姿が。

「は~い、これが朝食よ」と、持ってきてくださったのは、すてきなお盆に載った洋食です。

「朝は焼いたパン1/2切れにバターを塗り、チーズを2種類。発酵食品は腸内環境を整えるので、毎朝欠かしません。骨や筋肉を作るたんぱく質も大切だから、スクランブルエッグとべーコンなどのお肉も必ずいただきます。そして、野菜スティックとビタミンCたっぷりのキウイを1個。これが朝食の定番ね」

毎食、多くの食材をまんべんなく摂るようにしているという、ばぁば。

栄養バランスの良い食事は、健康長寿の秘訣です。そしてもう一つ、おいしさと健康のためにばぁばが昔からこだわって選んできたのが、発酵食品なのだといいます。

「酵母」「細菌」「カビ」などの微生物がたんぱく質や糖質を分解してできる発酵食品は、腸内の善玉菌の働きを助けて腸内環境を整えるだけでなく、うま味の素になるグルタミン酸やイノシン酸を増やし、おいしさと栄養価をアップさせる働きを持っています。

「だから、発酵食品の使い方次第で、料理の味も変わってくるのよ」とばぁば。

「みそ、しょうゆ、みりん、かつお節。基本調味料の多くは発酵食品です。いまは、忙しいから料理も時短で、なんて言うけれど、おだしも取らずに料理をしたら、おいしさも栄養価も半減してしまいます。上等なおだしを取ってうま味を生かせば、減塩にもなるの。手間を惜しまないことが、健康長寿の秘訣ですよ」

ひと手間を楽しむ

「時短はダメよ。ひと手間かけた丁寧な料理が健康を作るのよ」というばぁば。

「健康にいい発酵食品は毎日いただきます。上等なおだしを取ることも大切ね。うま味を効かせると減塩できますよ」とも。

その朝食は、こんなにおいしそう。

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「食事は折敷(おしき)などに載せて、楽しみながらいただきます。野菜スティックには、西京みそとマヨネーズ、溶きがらしを合わせたものを。おいしいですよ」

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ばぁば愛用の発酵食品。特にこだわっているのが、だしを取る削りがつおと2種のチーズ、朝食のスクランブルエッグに使うバターです。

取材・文/丸山佳子 撮影/工藤雅夫

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<教えてくれた人>

鈴木登紀子(すずき・ときこ)さん

日本料理研究家。1924年、青森県八戸生まれ。自宅で始めた料理教室をきっかけに、46歳で料理研究家に。 NHK 「きょうの料理」に40年以上出演。近著に『ばあばの100年レシピ』(文化出版局)がある。

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この記事は『毎日が発見』2020年3月号に掲載の情報です。

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