何となく適当になりがちな「昼ごはん」。でも、ちょっとだけ「冒険」すれば、料理の時間が楽しくなって、しかもおいしいひとときが過ごせるんです。そこで、料理レシピ本大賞in Japan準大賞受賞作のシリーズ第3弾『休日が楽しみになる昼ごはん』(小田真規子、谷 綾子/文響社)から、時間に余裕のある休日の昼ごはんを、「一工夫でおいしく楽しく変えられるレシピ」を連載形式でお届けします。
年間120日が楽しくなる冒険に出かけよう
休日の昼ごはん、それは「冒険」にもっともふさわしい食事です。
え?どうして冒険なのかって?
それは、まだ掘り起こしていない未知の「楽しい!」をたくさん発見できる可能性に満ちているから。
まず、休日というのは、平日よりもリラックスした気持ちでキッチンに立てます。
だから「今日くらい、ちょっと工夫してみようかな?」とはじめてのメニューに、前向きに挑戦できるのです。
そして、昼ごはんという食事は、朝ごはんより「料理」としての満足感があるのに夜ごはんより簡単に作れるものばかり。
チャーハンやパスタなど、一品で一つの世界が完結しているのでたった1か所の工夫でも、大きな変化に感じるのです。
ですから、これまで漠然と昼ごはんを食べていた方ほど少し視点を変えてみるだけで、喜ばしい感情に出あえます。
「天津飯って、こんなに簡単に作れたんだ。知らなかった」
「温泉卵をのせるだけで、もうオムライスじゃん!」
太陽の光が差し込む中、家の食卓という、いちばん落ち着く空間で昼ごはんにしかない特別な世界を味わう。
そうして昼ごはんの冒険で得た「楽しい体験」という宝物は、いつか大切な思い出に変わっていきます。
それは、自分を奥のほうから支えてくれる、幸福な記憶となるのです。
遠くへ旅に出なくても、お金や時間をかけなくても、自分の手で作れる、確実なしあわせがある。
それが、昼ごはんの冒険。
昼ごはんの冒険、取扱説明書
冒険といっても、それほど大変なことをするわけではありません。
マンネリになっている昼ごはんに、ちょっとしたドキドキを加えてあげる。
それが「冒険」の定義です。
●1か所だけ冒険する
いつものうどんの、麺だけを変えてみる。
いつもの卵サンドの、味付けを変えてみる。
これはいつもの道から少しだけ反れて、変化を楽しむ冒険です。
●作り方で冒険する
今までに作ったことのない料理を作ってみる。
すると「この食材って意外と簡単に扱える」「あの味って、この調味料で作ってたんだ」といった発見が。
これは、道のないところに、新しい道を切り開いていく冒険です。
●食べ方で冒険する
たとえば、ただのおにぎりではなく具材に「アタリ」「ハズレ」を作ってみる。
こうした企画性によって、食卓の空気が温まります。
これは、いつもの道で見たことのない花をみつけるような、視点を変える冒険です。
休日の昼ごはんの現実的な効能
●レパートリーが増える
たとえばガレット。
「外では食べるけど自分で作るのは......」って思ってしまいますよね。
でも、一度作ってみると「なーんだ! こんな簡単なの?」と拍子抜けすると思います。
もし失敗しても、夜ごはんより心理的負荷が少ないので、新しい料理に挑戦する絶好のチャンス。
知らず知らず、料理のレパートリーが増えていきます。
●お金が貯まる
昼ごはんを外で食べたり、コンビニで買ったりすると、どうしてもお金がかかります。
もちろんそれも楽しいけれど、年間120日も積み重なると結構な金額に。
でも、たとえばドライカレーの場合、自分で作れば原価142円ですむんです。
好きなごはんを食べられて、お財布にも優しい。
「貯まったお金で何しよっか?」と考える楽しみまでついてきます。
●冷蔵庫がきれいになる
平日に買った野菜や肉が、微妙に残ってる......。
休日の昼ごはんは、そんな食材をリセットするチャンスです。
冷蔵庫に在庫を残したままだと、新しい食材を買うときに「あれまだ使い切ってないしなあ」と頭によぎりますよね。
でも昼ごはんで使い切ってしまえば、午後、気分よく来週の食材を買えます。
こうして、冷蔵庫にリズムができていくのも心地よい効能です。
レシピは、麺、米、パンをテーマにしたものから、ワンプレート、鍋、サラダまで。昼ごはんを作るのが楽しくなるレシピ集です