明日でもいい仕事は今すぐ後回しに! 「やる」「やらない」の見極めで休む時間は自分で作れる

友人や家族と遊んでいても、仕事が気になって楽しめない...休日に、心と体をちゃんと回復できていますか?そんな「毎日忙しい!」と感じるあなたに、精神科医・西多昌規さんの著書『休む技術』(大和書房)から、日常のパフォーマンスが上がる「上手に休むコツ」を連載形式でお届け。きちんと休めば、仕事もプライベートもさらに楽しめるようになります!

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エンドレスな忙しさにはまっていませんか?

「今日できることを明日に延ばすな」という言葉があります。出典をたどると、14世紀のイングランドの詩人ジェフリー・チョーサー『カンタベリー物語』の中に、「Never put off till tomorrow whatyou can do today」というセリフが登場します。このセリフが、21世紀のわたしたちにも、いい意味でも悪い意味でも、プレッシャーになっています。

今日中にできそうなことは今日中に済ませて、明日に残さないのが理想的なことには違いありません。しかし、このセリフどおりに行動するのは、たいへんなことです。毎日のように深夜まで残業、仕事をいくらしても終わらないエンドレスな状態におちいる危険があります。

現代においては、過剰な勤勉さは自分を苦しめるばかりか、結果的に生産性を落としてしまうことにもつながります。おまけに、終わりのない忙しさの中で、突発的な出来事や頼まれ事にも、対応しなければなりません。

どれを「やる」か、どれを「やらない」か

たとえば、上司から、「今週中にこの資料をつくっておいてくれるかな」などと急に頼まれるのは、よくあることでしょう。自分のペースを乱されて、ネガティブな感情が起こってしまうのは仕方のないことです。驚き、困惑、怒りの感情を伴う場合もあるでしょう。「わたしに頼んでくれるなんて光栄」と前向きな気持ちで臨めることもあるでしょうが、たいていはプレッシャーを伴う負の感情が生じます。

「1日でも早く仕上げないといけない」と焦り、すべてを放り出して仕事に取りかかるひともいるでしょう。しかし、こうした衝動的な感情に基づく行動や判断には注意が必要です。全体像を見失う場合がままあるからです。

やることの多い現代人にとっては、ものごとに優先順位をつけるのは大切なことです。「優先順位をつけることが第一の悩みだ」と、優先順位のつけ方に悩んでしまうことで、肝心の思考がストップしてしまうという、笑えないボトルネックの経験者も多いのではないでしょうか。

「やる」という判断ばかりが強調されますが、「やらない」「休む」も、ひとつの決断です。多くのタスクを並べ替える優先順位づけは、疲れた頭では難しいことも多いでしょう。単純な「やる」「やらない」の二択でやるべきことを判断し、それを締め切りに合わせて考えるのも、ひとつの方法です。

緊急性の低い仕事は「先延ばし」にしたほうがうまくいく

具体的には、「やる」「やらない」を、緊急度に応じて、今すぐ、今日中、明日やるという3つに区別してしまうことです。「今すぐ直ちに」「一刻を争う」案件はわかりやすいですが、「今日中」「明日でもOK」を、衝動的でない頭で考えましょう。

重要性は高いが緊急性の低い仕事は、むしろ今日はゆっくり休んで、明日じっくり仕上げたほうが、クオリティが上がるものです。冷静な頭で考えて「重要でも、緊急でもない」こと。これは、やらなくてもいいことです。

むしろ積極的にやらずに、堂々と「休む」ことです。こうして考えていくと、「今すぐ直ちに」「一刻を争う」こと以外の絶対にしなければならないことは、案外少ないものなのです。

拙速は失敗の可能性を高くします。医者の常套句に「様子を見ましょう」というフレーズがあります。何もしないようなニュアンスですが、緊急でもないのにコロコロ対応を変えたり、あれこれ手を打ちまくったりすると、かえって治療が混乱してしまい、状態を悪化させてしまうことが多いのが通例です。

名医は、緊急時においては冷静かつ迅速ですが、じっと辛抱するときは、驚くぐらいに何もしないこともあるように思います。「やる」「やらない」の緊急性を判断する能力を、養っていきたいものです。

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明日でもいい仕事は今すぐ後回しに! 「やる」「やらない」の見極めで休む時間は自分で作れる 055-syoei-yasumu.jpg科学的根拠と臨床経験を基に、過ごし方や取り方など「休み」について、5章にわたって徹底解説

 

西多昌規(にしだ・まさき)

1970年、石川県生まれ。精神科医、医学博士。早稲田大学スポーツ科学部学術院准教授。東京医科歯科大学卒業。精神科専門医、睡眠医療認定医。専門は睡眠、身体運動とメンタルヘルス。主な著書に『精神科医が教える「集中力」のレッスン』『感情に振り回されない技術』(ともに大和書房)などがある。

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『休む技術』

(西多昌規/大和書房)

毎日忙しい、休日も仕事から頭が離れない、休みを満喫できない…それは休み方や休みの取り方に問題があるかも!?仕事の効率を上げる効果的な休みの取り方、そして、心からリラックスできる休日の過ごし方など休みに関するあらゆる具体的なコツが満載の一冊です。

※この記事は『休む技術』(西多昌規/大和書房)からの抜粋です。

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