相手に「断られたくない」ときに。「YES or YES」の提案法をご存知ですか?

思いや考えていることが「言葉」でうまく伝えられない――。そんな悩みを抱えるあなたのために、フリーアナウンサー・馬場典子さんの著書『言葉の温度 話し方のプロが大切にしているたった1つのこと』(あさ出版)から、アナウンサーが実際に使っている「話し方のテクニック」を連載形式で紹介します。あなたの言葉と心が、もっと相手に伝わるようになりますよ。

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話を通したいとき

上司にアイデアを提案するとき、気になる子をデートに誘うときなど、話を通したい、NOという返事を避けたい、というときがあります。そんなときは、YESorNOではなく、YESorYESと聞いてみてはいかがでしょうか。

できる店員さんは、お客さんに「デザートはいかがですか」とは聞かず、「今日は季節の苺のタルトと自家製プリンがありますが、いかがですか」と勧めると聞いたことがあります。

土俵にYESとNOを上げるのではなく、YESしか上げないようにすると、デザートを注文する確率が上がるとのこと。確かに、魅力的なメニューを聞いたら、別腹になる確率がアップしそうですね。

デートなら、「オススメのレストランがありますが、イタリアンと小料理屋とどちらがお好みですか?」とか。

仕事なら、「A案とB案で決めかねているのですが、いかがでしょうか?」とか。

余談ですが、私は一通りメニューの説明を受けたあとに、「ちなみにメニューには載っていないのですが......」なんて勧められた一品はつい、頼んでしまいます。

相手の心をつかみたいとき

ハリウッドスターのインタビューなどでは、部屋に入ってから出るまで、15分しか時間をもらえないことがあります。マイクをつけて、概要を説明して、通訳の方を挟むと、時間はさらに短くなります。入る時間が遅れたとしても、出る時間は予定通り、なんてこともあります。そんなときは、いつ終わってもいいように、とにかく聞きたいことから攻めていきます。

皆さんも、たとえば営業でやっとアポが取れたのに、相手の前の予定が長引いて、結局半分しか時間をもらえなかった、なんてことがあると思います。粘って粘って、5分だけ時間をもらえた、ということもあるかもしれません。

決断力のある人は直感力にも優れているので、1分のプレゼンで判断する人がいる、と聞いたこともあります。

つまり成功のカギは、すぐに相手の心をつかめるかどうか、にかかっています。日本語は順を追って説明することが多いですが、英語のように、結論から入るほうが効果的です。最初から攻めて、1分以内にあなたの頭にあるビジョンを相手にもイメージしてもらえるか。ステップではなく、明確なゴールを伝えられるかどうか。

そのためには、帯の一言で本を買うように、15秒のPRで2時間の映画を観たくなるように、コンパクトに、1フレーズでイメージさせられるかどうかが肝心です。

伝えたいことを、相手のアンテナに引っかかるキーワードや、1フレーズにまとめておきましょう。

プレゼンに臨むとき

プレゼンでも、結論から端的に伝えることが大切です。

新人のころ、「難しいことが難しく聞こえるのは素人の喋り。難しいことが簡単なことのように聞こえるのがプロの喋り」「易しいことが安易に聞こえるのは素人。易しいことが深い話に聞こえるのがプロ」と、教わりました。

難しいことほどシンプルに、当たり前と思われていることほど興味深くプレゼンできると、聞く人を惹きつけることができます。

もう一つ大切なのが、堂々としていること。新人のころ、「喋るときに手がペンギンになる」と言われました。緊張のあまり、謎の動きをしていたようです。そんな私が言うのも何ですが、伝えるときには振る舞いも大きなポイントになります。

1.胸を張る

堂々とした印象で説得力が増します。声が届きやすく、相手のリアクションが目に入りやすいというメリットもあります。

2.おへそを向ける

相手を見るとき、視線や顔だけを動かすのではなく、体ごと(おへそを)向けることが大切です。誠実な印象を与えます。

3.身振り手振りを使い分ける

身振り手振りが大きいと、パワフルで情熱的な印象を与え、身振り手振りを控えると、落ち着いて冷静な印象を与えます。

4.大事なところでワンアクション

ここぞというポイントで、ワンアクションすると聞き手の印象に残りやすくなります。

手を挙げたり、ポイントを話す前に〝間〟を取ったり、ポイントのあとに黙って二箇所くらい視線を送ったり。林修先生の「いつやるの?......今でしょ」がいい例かもしれません。

5.聞き手全員に届ける

よく、舞台役者は一番後ろの席まで意識すると聞きますが、プレゼンでも、一番後ろの人に意識を向けると、全員に届きやすくなります。

実際に一番後ろの人を見ることも効果的です。よく、後ろから前まで「Z」を書くように視線を動かすと言いますが、後ろだけでなく、前、左、右、中央と、会場全体をカバーします。このとき、視線が泳がないように気をつけましょう。

6.いつもの誰かに話しているつもりで

大勢の前で話すと、緊張したり、よそ行きの話し方になったりして、急に言葉に説得力がなくなり、空々しくなってしまうことがあります。

伝わる話し方が身についていなかったころ、カメラではなくカメラマンに向かって話すようアドバイスをもらったら、話しやすくなりました。おじいちゃん、おばあちゃんでも、友だちでも、いつも話している相手に伝えるつもりで話すと、言葉に気持ちが乗りやすく、聞き手との距離が縮まります。

聞き手が大勢になっても、一人ひとりの心に届ける、という基本は変わりません。

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021-shoei.jpg7章からなる本書では、著者がアナウンサー研修で実際に学んだトレーニングのほか、「話し方の心・技・体」という3つテーマで実践的な技術が学べます

 

馬場典子(ばば・のりこ)

1974年、東京都生まれ。フリーアナウンサー。1997年日本テレビ放送網株式会社にアナウンサーとして入社し、報道からバラエティ、スポーツまで幅広く番組を担当。2014年6月末に日本テレビを退社、フリーアナウンサーとして活躍中。2015年4月より大阪芸術大学放送学科アナウンスコースの教授を務める。

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『言葉の温度 話し方のプロが大切にしているたった1つのこと』

(馬場典子/あさ出版)

思いや考えが言葉にするとうまく伝わらない――。そんな悩みを解決してくれるコミュニケーションスキルアップ本。言葉遣い、ニュアンス、間、表情などアナウンサーの「話し方」のテクニックを分かりやすく解説。なぜアナウンサーの言葉は伝わりやすいのか、その理由が必ずあなたに“伝わり”ます。

※この記事は『言葉の温度 話し方のプロが大切にしているたった1つのこと』(馬場典子/あさ出版)からの抜粋です。

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