緑茶に砂糖とミルク!?激辛料理を食べる国の甘さへのこだわり

「近所の人が非常識で...」といった悩みを耳にすることもあるはずです。でも、世界に目を向けると、「パジャマで外出」「50歳でもお年玉」など、私たちが驚いてしまうことが「あたりまえ」として行われています。そこで、文化人類学者・斗鬼正一さんの著書『開幕!世界あたりまえ会議』(ワニブックス)から日本ではありえない驚きの常識を連載形式でお届けします。

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緑茶には砂糖とミルクが必須

フィリピン料理は、しょっぱい、酸っぱい、そして甘いものが多く、一部の地方を除いて辛い料理がありません。トルコ人は頭が痛くなるほどの甘いお菓子が好きで、お客様に出すお菓子も甘ければ甘いほど丁重なおもてなしとされます。紅茶の小さなグラスにも角砂糖を2つ入れますし、トルコ北部の紅茶産地リゼでは、もっと甘味を感じられるというので、奥歯に固い砂糖を挟んで飲むのです。

一方、タイ料理は激辛で有名ですが、飲み物となると元々甘いホットココアにも砂糖が付いてきて、クリーム、砂糖入り緑茶どころか、コンデンスミルク入りの緑茶まであります。

香港にもピーチ味やリンゴ味の緑茶がありますが、なんでも辛そうな韓国でさえ甘い緑茶のレモンティーというものがあります。日本人にとってのお茶とは随分違うのですが、甘さを表す言葉も韓国語では20近くもあるのに対して、日本語は「甘い」しかありませんし、昭和まで男が甘いものを食べるのは恥ずかしいなどといっていたほどですから、本来日本人はスイーツ民族ではないということになるのかもしれません。

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胃腸薬も激辛カレー味

日本ではゼリーといえば、甘いデザートというのが常識です。一方、スペインやイギリスでは、ゼリーはデザートでなく、コンソメ味や野菜のゼリー寄せという料理になります。彼らからすれば、ゼリーは食事として食べるもので、甘いゼリーは一般的ではないのです。

同じように、日本ではパイといえば甘いスイーツが一般的ですが、激甘料理が大好きなはずのニュージーランドでは、野菜や肉入りのれっきとした料理です。

反対に、激辛好きなのがインド人ですが、そのインドで胃腸薬として有名なのが「ハジモラ」です。国内シェア75%と圧倒的人気を誇る薬なのですが、驚くのはその味。薬なのにカレー味で、衝撃の辛さなのです。

ただしそこは多民族国家。同じインドでも、西部グジャラート州の伝統料理となると、なんでも甘く、スープやカレーに砂糖をたっぷり入れて食べます。同じ国でもここまで違うのですから、何を甘く、何を辛くするべきかは、民族により様々なのです。

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イラスト/てぶくろ星人

緑茶に砂糖とミルク!?激辛料理を食べる国の甘さへのこだわり あたりまえ会議.jpg「男女」「生活」など5つのテーマで、世界中から集められた83の"驚きの常識"が!世界から見れば、日本も意外と非常識のようです

 

斗鬼正一(とき・まさかず)

1950年、鎌倉生まれ。文化人類学者。江戸川大学名誉教授、明治大学大学院・文学部兼任講師。明治大学大学院修了。熱帯ジャングルのヤップ島からコンクリートジャングルの香港、東京まで、旅と街歩きで「人間という人類最大の謎」を探検する。

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『開幕!世界あたりまえ会議―私の「ふつう」は、誰かの「ありえない」』

(斗鬼正一/ワニブックス)

「うんこで手を洗う」「石を食べる」などなど、世界を旅して“人類”を研究する著者が、愛すべき世界の人々の“あたりまえ”を集めた人間讃歌の一冊。暮らしから人間関係まで、信じられない83もの常識がラインアップ。多様性が叫ばれる中で「普通とは何か」ということを、ポップなイラストと共にわかりやすく教えてくれます。

※この記事は『開幕!世界あたりまえ会議―私の「ふつう」は、誰かの「ありえない」』(斗鬼正一/ワニブッス)からの抜粋です。

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