日本女性の「フルメイク」に驚き!?「若作り」を意識しない世界の常識

「近所の人が非常識で...」といった悩みを耳にすることもあるはずです。でも、世界に目を向けると、「パジャマで外出」「50歳でもお年玉」など、私たちが驚いてしまうことが「あたりまえ」として行われています。そこで、文化人類学者・斗鬼正一さんの著書『開幕!世界あたりまえ会議』(ワニブックス)から日本ではありえない驚きの常識を連載形式でお届けします。

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少しでも若く見られたい女性

欧米人の目には、多くの日本女性は実年齢よりも若く見えるといいます。これは、欧米人は彫りが深いためクマやたるみができやすいのに対し、日本人は彫りが深くなく、さらに日焼けを避けるのでシミ、しわができにくいといった違いがあるためです。

また、化粧の違いも大きくて、日本女性は少しでも若く見えるようにと入念に化粧する人が多いのですが、欧米人はずっと簡単で、フルメイクする人は少なく、化粧しない人も多いのです。持ち歩いている化粧品の数も日本人のほうが多いといわれています。

これは日本では、女性は若いことに絶対的価値があると考えられていて、「おばさん」は侮辱語と化し、実年齢よりも若く見られたいという人が圧倒的に多いからです。

他方、欧米人は、若く見えることがうれしいという人は少なく、年齢相応に見られたいという人が多いのです。つまり、様々な経験を重ねて来た自分の人生、自分自身の履歴書ともいうべき顔は、素のまま見せるのがあたりまえと考えるのです。

どうがんばっても年をとるのだとしたら、必死に無駄な抵抗をするよりも、受け入れ、そして自らの人生に自信と誇りを持つというほうが、優れた文化といえるのかもしれません。

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ハゲは知恵の象徴

日本では男性も「もう年だ」と嘆き、ハゲることは恥ずかしいと育毛剤に頼ります。ところがハゲた人が日本の5 倍もいるアメリカでは、「もう年だから」ではなく「年にもかかわらず元気だ」といい、ハゲは知的に見えるともいいます。中国でも額がハゲるのはよく頭を使った結果で、知恵と経験の象徴と、むしろ敬意をもって見られます。ハゲが少ないベトナム人も、頭をよく使った人ほどハゲやすいといいます。

実は江戸時代の日本でも、若いうちに生え際がハゲ上がる人は発達が早く、運気が強いといわれていました。加齢をどう考えるかは、民族や時代によって異なるのです。

子どもが簡単に死ぬ時代には、生殖能力の高い若さが評価されますし、物質的な豊かさを求める時代にも、必死に働き、稼ぎ、次々登場する最先端の商品やサービスを購入することが重要ですから、若いこと、新しいことこそ価値があるとされます。

しかし今の日本は子どもも簡単には死にませんし、大量生産、大量消費が求められる時代でもありません。むしろ、成長が一段落した成熟社会でどう生きるのか考える知恵こそが重要です。これからは単なる若さではなく、知恵と経験を重ねたことこそ素晴らしいとされるでしょう。

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イラスト/てぶくろ星人

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斗鬼正一(とき・まさかず)

1950年、鎌倉生まれ。文化人類学者。江戸川大学名誉教授、明治大学大学院・文学部兼任講師。明治大学大学院修了。熱帯ジャングルのヤップ島からコンクリートジャングルの香港、東京まで、旅と街歩きで「人間という人類最大の謎」を探検する。

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『開幕!世界あたりまえ会議―私の「ふつう」は、誰かの「ありえない」』

(斗鬼正一/ワニブックス)

「うんこで手を洗う」「石を食べる」などなど、世界を旅して“人類”を研究する著者が、愛すべき世界の人々の“あたりまえ”を集めた人間讃歌の一冊。暮らしから人間関係まで、信じられない83もの常識がラインアップ。多様性が叫ばれる中で「普通とは何か」ということを、ポップなイラストと共にわかりやすく教えてくれます。

※この記事は『開幕!世界あたりまえ会議―私の「ふつう」は、誰かの「ありえない」』(斗鬼正一/ワニブッス)からの抜粋です。

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