女優・有馬稲子さんが語る「中高年向け分譲マンションの魅力」

宝塚歌劇団を経て、映画・舞台女優として活躍し、近年は朗読劇で新境地を披露する有馬稲子さん。私生活では、2007年に中高年向けの分譲マンションに引っ越し、楽しく充実した毎日を過ごしています。その魅力的な暮らしや、ライフワークである朗読などについてお話を伺いました。

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ガーデニングを通じて広がった友達の輪

――入居されている中高年向けの分譲マンションでは、有馬さん主宰のガーデニングの会もあるそうですが、始めたきっかけは何だったのでしょう?

有馬 マンションに入居して2年が過ぎた頃、鉢植えのバラが枯れてきたのでフロントに相談したところ、住人の中からバラの専門家を紹介してくださいました。私の住むマンションは440戸以上もあるので、現役時代にさまざまな分野で活躍した方が山ほどいる人材の宝庫なんです。おかげでバラも生き返り、せっかくなら殺風景な庭に植え替えて、花を増やしていこうと、カーデニングの会「モネコガーデン」を立ち上げました。

――「モネコガーデン」という名前の由来は?

有馬 フランスの画家・モネが愛した「ジヴェルニー」という美しい庭があるんです。それをもじって、モネの庭をまねたイネコの庭でモネコ。いい名前でしょ? 最初はバラ博士を含め数人で細々と活動を始めて、そのうち、「花を植えてくれてありがとう」と声をかけてくださる住人の方も増え、いまでは30人以上もの有志が集まりました。毎週土曜に活動をしていて、雑草の処理から花の植え替えまで、みんなで相談しながら楽しく土いじりをしています。出会いもあれば別れもあって、数年前にモネコガーデンの名付け親だったお友達が亡くなりました。とても寂しかったのですが、葬儀の際、モネコガーデンに咲いた花で作ったコサージュをひつぎに納めさせていただきました。女優・有馬稲子さんが語る「中高年向け分譲マンションの魅力」 arima_02.jpg

季節の花に彩られたモネコガーデン

孤独や不安を解消する同世代の仲間との暮らし

――中高年向けのマンションはどんな点が魅力でしょうか?

有馬 ここに住む前は一人暮らしだったので、お友達が遊びに来て帰っちゃったときの寂しさや、女性一人で暮らすことへの不安や恐怖があったんです。その点、このマンションは世帯数も多く、エレベーターや廊下にも必ず誰かしらいて、人の目が常に近くにある。また、中高年向けなので同世代の方が多く、食堂やラウンジもあって、一人暮らしのときに感じていた孤独や不安はすっかりなくなりました。

――毎日の食事はどうされていますか?

有馬 食事は1日2食を基本にしています。映画の世界にいた頃、昼食をとる時間がなくて、それからずっと朝と夜の2食ですが、私の体質には合っているみたい。マンションの食堂は3食制で、主に夕食を利用しますが、朝食は自分で作ることが多いです。作るといっても、目玉焼きに、パンかごはんで簡単に済ませます。昼に食べない代わりに、ティータイムには甘いものを少々。料理をするのも好きなので、よく野菜の煮物を作っては食堂に持っていって、お友達にもお裾分けしています。外食も自由なので、時々出かけます。昔からおすしに目がなくて。電車に乗って行くので、いい気分転換になります。

――健康維持のためにされていることはありますか?

有馬 頭をしっかり働かせるためには、足を動かすのがいちばん。マンションの周りには公園が多く、遊歩道も整備されているので、毎日6000 歩を目標に歩くようにしています。本当はもっと歩きたいのですが、右ひざに人工関節が入っているので、歩き過ぎて負担にならないよう気を付けています。昔は朝の日課でしたが、起きてすぐの運動は良くないと聞いて、夕方に切り替えました。食事の面では、野菜を多く摂るようにしています。あと、仕事や大事な予定がある前の日は生ものを食べない、少しでも具合が悪いと感じたら早く寝るなど、日々の危機管理も健康維持につながっているのかもしれません。

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取材・文/Choki!(田辺千菊) 撮影/齋藤ジン

 

有馬稲子(ありま・いねこ)さん

1932年、大阪府生まれ。幼年時代を釜山で過ごす。1948年、宝塚歌劇団入団。1953年に映画界に転身し、小津安二郎監督作品『東京暮色』など、出演総数は70本を超える。1980年の初演以来、24年間続いた舞台『はなれ瞽ご女ぜおりん』は、684回の旅公演を重ねた。

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『有馬稲子 わが愛と残酷の映画史』

著:有馬 稲子 樋口 尚文 /筑摩書房)

日本映画全盛期から現在まで、銀幕や舞台で活躍を続ける大女優が語る、小津安二郎、内田吐夢、今井正、市川崑ら名監督の素顔。知られざる私生活にも触れた語り下ろしの1冊。1,900円+税。

この記事は『毎日が発見』2019年8月号に掲載の情報です。

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