これからの季節、食卓に欠かせない夏の名脇役が青じそとバジル。それぞれ和洋のハーブを代表し、育てやすいのが人気。育て方のポイントやをおいしい使い方を、長く国営昭和記念公園の植物管理に携わった経験を持つ井出Gさんが紹介します。
青じそってどんなハーブ?
しそは、平安時代から薬草として育てられていたといわれています。漢字で"紫蘇"と書くように、本来は赤じそのことでしたが、夏の食卓でよく使われる緑色のしそは赤じその変種で、「青じそ」または「大葉」と呼ばれています。
赤・緑ともにビタミンやミネラルが豊富で、特に青じその爽やかな香りには防腐効果があります。
バジルってどんなハーブ?
イタリア料理に欠かせないバジルですが、バジルもシソ科のハーブです。種子は水を含むと膨張してゼリー状の物質に覆われます。昔はこのゼリー状の物質を目の汚れを取る目薬として利用していたそうです。
甘みのある独特の香りが特徴で、香り成分には鎮静、抗菌、食欲増進などの効果があります。トマトとの相性は抜群です。
青じそとバジルの上手な育てかた
■種から育てる
青じそもバジルも育て方は同じで、気温が20度以上になったら種まきを行います。種を一晩水に浸けてから、日なたもしくは半日陰の場所に種をまき、薄く土をかけて風で種が飛ばないようにします。プランターの場合も同じです。土が乾かないように水を与えると、青じそは1~2週間、バジルは1週間ほどで発芽します。
葉が2~3枚になった頃、苗と苗の間が30㎝ほどになるように間引きします。間引いた青じそは芽じそとして刺し身のツマなどに、バジルはベビーリーフとして利用しましょう。
■苗から育てる
ポット苗は、葉が大きく色艶がよく、茎がしっかりしているものを選びます。苗を植える1週間前に、土に堆肥と窒素分の少ない緩効性肥料をよく混ぜて、なじませておきます。肥料の量は1株に対して一つまみほどです。プランターの場合はハーブ用の土に緩効性肥料を混ぜておきます。
ポット苗は2~3本の苗が入った状態で販売されているので、水の入った容器の中で根を揺すってほぐし、1株ずつ植え付けることができます。苗と苗の間を30㎝ほど空けて植え付けます。種から育てた苗にも、間引き後、堆肥と緩効性肥料を与えます。
■水やりと日当たり
青じそもバジルもハーブとしてはやや湿り気のある土を好みます。表面が乾いたのを目安に水を与えるようにします。
日当たりが悪いと茎が伸びたり香りも悪くなります。また真夏の強過ぎる日差しに長時間当たっても葉が硬くなったり、縮んだりします。肥料不足も葉が硬くなる原因になります。
■手入れ
本葉が10枚ほどになったら、下葉2枚を残して葉を摘みます。摘まれた節からは新たな若葉が出てきます。
高さが20~25㎝ほどになったら、茎の先端をはさみで切り取ります。これを摘心(てきしん)とかピンチと呼び、こうすることで脇芽が伸びて収穫量を増やすことができます。摘心を行わないと8月上旬くらいから花穂が伸びて、葉が硬く香りも悪くなります。
摘心を3~4回繰り返すことで株を若返らせながら、秋まで収穫を楽しめます。
■病虫害対策
青じそもバジルも香りや殺菌効果があるので本来は害虫はつきにくいのですが、新葉の頃、アブラムシやヨトウムシ、ハダニがつくことがあります。株間が狭かったり、窒素分の多い肥料を多用したりすると発生しやすくなります。
害虫がついた場合、霧吹きに牛乳を入れて虫全体に吹きかけると油膜で虫をコーティングし窒息死させ駆除できます。乾燥させたコーヒーかすを土に混ぜ込んでも、虫がつきにくくなります。
取材・文/石井美佐 イラスト/小川温子