ヒントはLINE!「表現」を捨てれば文章はスラスラ書ける

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※この記事は『大人の時間割を使えば、仕事が3倍速くなる! プロの時間術』(上阪徹/方丈社)からの抜粋です。

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速く書けるようになる秘訣

苦手だった文章が書けるようになった自分の経験をひもとくプロセスで、私は「書くとはなんぞや」ということを理解するに至りました。そして、だからこそ私は速く書けているのだ、ということにも気づきました。速く書くには、秘訣があるのです。

端的にいえば、それはこういうことです。文章に必要なのは、「表現すること」ではなく、「書く内容/素材」だということです。

このことに明確に気づかせてくれたのは、無料通信アプリ「LINE」が爆発的に広がっていったことでした。文章が得意ではない、メールも好きではない、などと言っていた人たちが、LINEは嬉々として使っていたからです。

もちろん、仕事で使うか、プライベートで使うか、ということの差はあったかもしれません。それにしても、どうしてあれほどまでにLINEは支持されるに至ったのか。

実際、文章を書くことは嫌いだけど、LINEはやっている、LINEは好きだし楽しい、という人が当たり前のようにいました。これが私には、不思議でならなかった。

そしてわかったのでした。どうして、LINEなら書けるのか。それは、表現しなくていいからです。先にも触れた、うまい文章など、書かなくていいのです。だから、書くストレスがなくなっていった。

では、表現せずに何を書いていたのか。用件だけを書いていた、ということです。要するに、文章の「内容/素材」です。内容/素材で、十分にコミュニケーションができていた、ということなのです。

それなのに、LINEを離れて、例えばメールを書こうとすると、みんな固まってしまう。「文章」を書かねば、と身構えてしまう。表現しないといけないんじゃないか。文章が下手くそだと思われてしまうんじゃないか。失礼なことになりはしないか、もっとうまい文章にしなければ、などと頭をめぐらせてしまう。

もちろん、LINEほどカジュアルではちょっと問題があるかもしれませんが、コミュニケーションのツール、ということでいえば、同じことです。大事なことは、用件がちゃんと相手に伝わること。内容をしっかり理解してもらうことなのです。

文章を書くときに、人を苦しめるもの。それは端的に「表現」だと私は思っています。何かいい表現をしないといけないのではないか。まさに、先の「うまい文章を書かないといけない」呪縛の現れがこれです。

そしてその最も象徴的なものが「形容詞」です。なんとかうまく形容する言葉、見事に表現する言葉を見つけようとして、時間がかかってしまう。言葉探しに手間がかかってしまう。

しかし、本当に形容することが、伝わる文章なのでしょうか。うまい文章なのでしょうか。むしろ、逆なのではないか、と私がよく使う例があります。例えば、「ものすごく寒い」をどう表現するか。

小難しい形容詞を考えるよりも、「内容/素材」を書いたほうが、よほど伝わるのではないでしょうか。

・温度計はマイナス15度を指していた
・軒下のツララは、30センチもの長さだった
・子どもたちの息はあっという間に真っ白になる

いずれも事実を書いただけです。しかし「ものすごく寒い」ということがわかります。実際、形容詞で「ものすごく寒い」と書くよりも、よほど伝わることがおわかりいただけると思います。

つまり、「内容/素材」をこそ書けばいいのです。表現=形容詞などいらないのです。時間をかけて表現などを考えるよりも、どんな「内容/素材」を書けば相手に伝わるか、をこそ考えればいいのです。

私はまさにそうやって、文章を作っています。実際、形容詞はほとんど使いません。だから、文章を書くときに悩むことはない。だから、速く書けるのです。

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上阪徹(うえさか・とおる)

ブックライター。1966年、兵庫県生まれ。早稲田大学商学部卒。ワールド、リクルート・グループなどを経て、94年よりフリーランスとして独立。幅広く執筆やインタビューを手がける。超多忙の中、毎月1冊の書籍を締め切り厳守で書き上げる、時間術のプロ。著書に『企画書は10分で書きなさい』(方丈社)、『これなら書ける!大人の文章講座』(筑摩書房)、『10倍速く書ける 超スピード文章術』(ダイヤモンド社)、『JALの心づかい』(河出書房新社)、『職業、ブックライター。』(講談社)など多数。インタビュー集に40万部を突破した『プロ論。』シリーズなど。ブックライターとしても、80冊以上を執筆。携わった書籍の累計売上は200万部を超える。2011年より宣伝会議「編集・ライター養成講座」講師。2013年、ブックライター塾開講。

上阪徹さん公式ホームページ

 

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※この記事は『大人の時間割を使えば、仕事が3倍速くなる! プロの時間術』(上阪徹/方丈社)からの抜粋です。

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