仕事がたまる、残業が減らない、遊ぶ時間がない...そんな人は「時間の使い方」が悪いのかもしれません。毎月1冊、10万字の本を書き続けている人気ブックライター・上阪徹さんが実践している「時間術」についてお届けします。成功者3000人を取材して学んだという「時間の哲学」に満ちたメソッドは必見です!
※この記事は『大人の時間割を使えば、仕事が3倍速くなる! プロの時間術』(上阪徹/方丈社)からの抜粋です。
仕事時間を短縮していく方法
毎月1冊、本を書いているというと驚かれますが、私は書くのが速いほうだと思います。なので、「どうすれば仕事を早くできるか」「仕事時間を短縮する方法はないか」と聞かれることが少なからずあります。
もともと私は文章を書くことが嫌いで苦手でした。実は本もほとんど読まなかった。そんな私が文章を書き、本を書くことで生計を立てているわけですから、本当に不思議なのですが、そのきっかけは広告への興味でした。
私が学生時代を過ごしたバブル期、注目されている職業のひとつにコピーライターがあったのです。広告コピーは文章を書く仕事というよりも、言葉を見つける仕事だと思っていました。憧れは捨てられず、私は一度、就職した大手アパレルメーカーから転職して、この職業に就くことになったのでした。
ただ、私が携わることになったのは、リクルートが発行している求人メディアでの広告でした。ポスターにキャッチフレーズを1行書く、というものではなかった。求人広告ですから、しっかりと情報を提供していく必要があったのです。
ここから、私は苦手な文章を書かなければいけなくなっていきます。それこそ始めたばかりの頃は、300文字を書くのに1日かかっていたような有様でした。どうやって文章を書いていいかわからなかったのです。
そんな状況から、文章がだんだん書けるようになっていったのは、大きく2つの理由があると思っています。ひとつは、膨大な量の仕事をしたこと。そしてもうひとつは、常に効率を意識したことです。
当時のリクルートでは、猛烈に仕事をしている人が少なくありませんでした。私自身、やりたい仕事に就いたこともあって、その渦の中で膨大な量の仕事をすることになりました。会社でも、量に目標がありましたが、それもひとつのモチベーションになっていました。
改めて思うのは、やはり量をこなしていかないと、仕事は早くなってはいかない、ということです。というのも、追い詰められることで、どうすれば効率良く仕事を推し進めていけるかを、考えていかざるを得なくなるからです。
それこそ、のんびりゆったりと仕事をしていたら、いつまで経っても仕事のスピードは速まっていかないと思います。ある意味、仕事に追い立てられ、急いでやらなければいけない状況に追い込まれることで、仕事のスピードは速まるのです。
ただ、これは自分で意識してできることだとも思います。いつもは2時間かかる仕事を、1時間30分でやろうとしてみる。私は「自分に負荷をかける」と呼んでいますが、その意識を持つことで仕事のスピードを速めていく。
もしかしたら、インセンティブは「早く帰りたい」「早くやりたいことをする時間に向かいたい」ということでもいいかもしれません。そのために、仕事を急ぐ。どうすれば、もっと早く効率的にできるのかを、考えて仕事をする。
リクルート時代も膨大な量の仕事をしていたつもりでしたが、実はフリーランスになってからは、当時の3倍の仕事をするようになりました。これは、頑張りが収入に直結する、というインセンティブも大きかったと思います。
ただし、やみくもに仕事を受けていたら、パンクしてしまいます。受けられるギリギリのところで判断する。そこで「小分け」「時間割」(※仕事のプロセスを小分けにして時間枠に当てはめる予定表)が生きました。
私の場合は、時間割は1時間単位ですから、早く終われば次の時間枠まで休憩ができる、というのもインセンティブのひとつでした。そうすることで、もっと早く仕事を終えられないか、どうすれば終えられるか、考えるようになりました。
もっと仕事を入れられるように、1時間枠を45分にしたり、30分にしたり、といった取り組みをしていた時期もあります。そうすると、受けられるギリギリがまた広がる。
私の場合、インタビューの仕事がやがて分厚い冊子や本の仕事へと広がっていきましたから、そこでまた量と効率を意識することになりました。
いずれにしても、負荷をかけていかないと、なかなか仕事時間は減りません。これもまた、意識してやっていく必要があります。
時間、ひいては人生の哲学から実践的なテクニックまで全6章にわたって丁寧に解説されています。「働き方とは何か」について考えるきっかけにも