仕事がたまる、残業が減らない、遊ぶ時間がない...そんな人は「時間の使い方」が悪いのかもしれません。毎月1冊、10万字の本を書き続けている人気ブックライター・上阪徹さんが実践している「時間術」についてお届けします。成功者3000人を取材して学んだという「時間の哲学」に満ちたメソッドは必見です!
※この記事は『大人の時間割を使えば、仕事が3倍速くなる! プロの時間術』(上阪徹/方丈社)からの抜粋です。
実際に行ったスケジュール、を書き上げてみる
そもそも自分のことをちゃんと理解していないと、時間はうまく使えないと私は思っています。「自分のことを理解する」という点で、とてもいい方法があることを、かつて取材した経営者に聞きました。方法はとてもシンプルです。実際に行ったスケジュールを1週間分、書き上げてみる、というものです。
多くの人が、手帳なりパソコンやスマートフォンでのスケジューラーなりで、スケジュールの管理をしています。しかし、それは「これから先」の予定を書いているに過ぎません。
しかも、スケジュールに入っているのは、人と会う予定だったり、会議の予定だったり、といった「外」との関わりだけです。実際に、席に座って仕事をしているときもスケジュールのはずなのですが、それは手帳には書かれていない。
これで本当にスケジュールのつもりなのか、とその経営者は取材で言われていたのです。1日で何をするか、あるいはしたか、こんなスケジュールでわかるのか、と。
そこで彼が勧めていたのが、まずは1週間、毎日夜にその日のスケジュールをすべて書き出してみることでした。そうすることで、人に会ったり、会議をしたり、といった人に関わる仕事以外で「何をしていたか」があぶり出されていくことになります。
これが衝撃的な結果をもたらすことが少なくない、と経営者は語っていました。まず、何をしていたのか、思い出せない時間が意外にたくさんある、というのです。たしかに仕事をしていたはずなのだが、何をしていたのかがわからない。
そしてもうひとつが、建設的に仕事ができていない、ということです。やらないといけないことを後回しにして、別に急いでいるわけではない仕事をしていたりする。しかも、どうしてその仕事をすることになったのか、思い出せない。
こんなことになってしまった理由は明快で、人と関わるところはスケジューリングしていたけれど、それ以外の時間がまったく管理されていなかったからです。私の言葉でいえば、「時間割」(※仕事のプロセスを小分けにして時間枠に当てはめる予定表)が作れていなかったのです。
それを理解するためにも、実際に行ったスケジュールを書いてみるのは、とても大きな意味を持つと思います。
忙しいと思っていたけれど、無駄な時間がけっこうあった。資料を探しているつもりだったけど、実は面白いサイトにはまってかなり時間を取られてしまった。移動中も何をすることもなく、ダラダラとスマートフォンでニュースを眺め続けていた......。
こういうこともわかりますし、自分の傾向もわかってきます。朝はかなり集中しているけれど、夕方には集中が切れてしまう。会議がとても多いので、まとまった時間がほとんど取れていない。メールを書くのに、やたらと時間がかかっている。企画書を作るのが、とても苦手だ......。
傾向がわかれば、対策が打てるようになります。対策を打つことで、もっと時間が生み出せるかもしれない。しかし、自分の仕事を改めて洗い出してみないと、こういうことも見えてきません。それだけでも、予定を書くスケジュールではなく、実際に行ったことを書くスケジュール帳の意味が出てきます。
それにしても、どうしてスケジュール帳には、人に関わる予定しか書かないのでしょうか。そもそも、それが私には不思議でなりません。なぜなら、仕事は人に会うことだけではないから。人に会わないときにしている仕事も、大切な仕事だからです。それもしっかりスケジュールしていくことで初めて、仕事のスケジュール、と言えるのではないでしょうか。
逆にいえば、人に関わらない仕事についてスケジューリングできていないのに、仕事全体がスケジューリングできるはずがないじゃないか、と私など思ってしまいます。人に関わる以外の時間は、なんとなくぼんやりと時間が過ぎていってしまっているだけ、になってしまう危険があるからです。もしかして、こうなっている人も多いのではないでしょうか。
その意味でも、「小分け」「時間割」には意味があると思っています。それこそ1時間単位で作られているスケジュール帳やスケジューラーもあります。人に関わること以外のこともスケジュールすればいいのです。これで「時間割」を作ればいいのです。
時間、ひいては人生の哲学から実践的なテクニックまで全6章にわたって丁寧に解説されています。「働き方とは何か」について考えるきっかけにも