何を食べればいい?生活習慣は?「更年期」を快適に過ごすためのヒント/漢方のプロ・櫻井大典先生が教える健康法

病院にかかるほどではないけれど、なんとなく体の調子が良くない。とくに女性を悩ませがちな「冷え」や「肌荒れ」などについて、Twitterフォロワー数10万人(2019年1月現在)を数える漢方の専門家・櫻井大典先生に、その原因や対処法を教えてもらいました!

できるだけ実践しやすく、続けやすい、中医学にもとづいた健康法を、全5回にわたってお届けします。第5回目のテーマは、女性を悩ませる「更年期」についてです。

痛みがずっと取れない...尾を引く「慢性頭痛」の対処法とは?/漢方のプロ・櫻井大典先生が教える健康法

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女性の体は、年齢を追うごとに、そして月経のリズムや妊娠・出産などを経験するごとに、ホルモンのバランスが大きく変化します。そうした変化の大きなものに、「閉経」と「更年期」があります。

これは女性の生涯の中でも、とくに大きな変化で、これにうまく順応できず、不快な症状を感じる方も多くいます。これが、「更年期障害」です。

男女ともに40歳を過ぎると、ホルモンをコントロールする機能が低下しはじめ、分泌量が急激に低下します。そこから10年ぐらいを「更年期」と呼びます。

この更年期には、多くの不快な症状が現れ、これを「更年期障害」と呼びます。頭痛、肩こり、のぼせ、手足のしびれ、気力がないなど、症状は多岐に渡りながらも、数値として現れないものも多く、他人には理解されにくい辛い状態となることもあります。

また、それがきっかけとなり、精神的なトラブルを抱えるケースもあります。さらに、高脂血症、肥満、動脈硬化、高血圧、心臓病、糖尿病、骨粗しょう症などを引き起こす要因にもなりえるので見過ごせません。

更年期は悪いことだけじゃない?

更年期のそういったトラブルを、仕方ないものとあきらめている方も多いかもしれませんが、養生や漢方を使うことで、予防したり症状を軽減したりできます。更年期は、前述の不調や不快な症状などもあり、あまりいいイメージはありませんが、わずらわしい生理がなくなるメリットもあります。

ここからは、更年期を快適に過ごすためのヒントをお話しします。中医学では、更年期に起こる不調の原因を、栄養を運び情緒を安定させる血(けつ)の不足や、ホルモンや水分代謝、体の熱などをコントロールする腎(じん)の弱りとしてとらえています。この対策としては、体質や症状に合わせた「腎を補う薬」(※)や、「血の質を良くする薬」を使い、血のめぐりが良くなるようにします。

※漢方薬を選ぶには個々の体質・体調に合わせることが必要なので、専門家にご相談ください

月経周期や月経の状態は、ホルモンの状態を知るヒントになります。女性は若いうちから月経に関心をもち、規則正しい月経がくるように気をつけて、なにか不調が見られたらまずは婦人科に相談することも重要です。

腎は腎を補う薬だけではなく、ミネラル(カルシウム、マグネシウム、亜鉛など)を含む鹹味(かんみ・しょっぱい味)を持った食材からも養われます。ミネラルは海産物に多いので、貝や海藻、お魚などをしっかり食べましょう。

ただし、ミネラルは残念なことに、毎日尿に混じって排出されてしまいます。そのうえ、甘いものや、ジュース・お茶・ビールなどの食べ過ぎや飲み過ぎや、強いストレスにさらされることでもミネラルは消耗します。少量でも、毎日摂取するよう心がけましょう。

ミネラルは、海藻、貝、天然の塩、ごま、豆類に多く含まれています。こうした食材をとり入れやすい「みそ汁」や「鍋もの」は、腎を養うのにとても効果的なメニューです。

ミネラルで腎を元気にすると同時に、体にとって大切な質のよい血をしっかりと増やし、スムーズに巡るように保つことも大切です。そうすることで、腎に必要な栄養をしっかり供給できるようになるからです。

質のよい血を増やすには、ほうれん草や小松菜などの緑の濃い野菜、鉄分を多く含むレバーや赤身の肉、かつお、プルーンやナツメ、そして黒豆や黒ごま、まいたけ、カキなどがおすすめです。偏食の方は、はじめのうちはミネラルやたんぱく質を補う健康食品やサプリメントなどをうまく活用するとよいでしょう。

また、腎を養うためにせっかくミネラルたっぷりの食材を摂っていても、運動をしないと下半身への血行が悪くなり、腎へ栄養が届きにくくなります。運動をすることで血の巡りもよくなり、栄養が体の隅々まだ届くようになるため、骨も丈夫になります。

血は必要とされるところに多く流れるので、下半身の血のめぐりを意識して、毎日30分から1時間は歩くとよいでしょう。歩く時間がない人は、座り姿勢を減らして立っていることを意識することから始めたり、就寝前にストレッチをするなどから始めたりするのも良いですよ。

更年期の不快な症状は、中年女性の6〜7割に見られると言われています。ホルモン補充療法などもありますので、不眠や日常生活に支障をきたしている場合は、そういった手段を検討することも必要でしょう。

ただし、結局はホルモン剤をやめてしまうと、同じような症状に見舞われる可能性もあります。それを防ぐには、事前に養生をして体を整え、漢方を服用して準備しておくことも大切です。更年期を嫌なものにせず、心地よく過ごすためにも、漢方薬や中医学の知恵をご活用ください。

 

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櫻井大典(さくらい・だいすけ)

北海道北見市にある「ミドリ薬品 漢方堂」三代目。本場中国でも中医学を学び、日本の薬局で経験を積んだあと帰郷。現在は、北見市に3店舗を総括している。本業と並行して、中医学を活かした健康知識を毎日、Twitterで発信。優しく分かりやすい内容が多くのファンを生み、フォロワー数は10万人を突破している。著書に『ミドリ薬品漢方堂のまいにち漢方―体と心をいたわる365のコツ』(ナツメ社)、『つぶやき養生』(幻冬舎)、監修に『ねこ先生トト・ノエルに教わる ゆるゆる健康法』(KADOKAWA)などがある。

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