劇団四季などの衣装クリーニングを手掛け、今話題になっているプロ集団・洗濯ブラザーズ。「正しい洗濯をすれば、自宅でほとんどのものが洗える」という彼らの著書『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム)から、「正しい洗濯のやり方と知識」をお届けします。
汚れには「油性」「水溶性」「不溶性」がある
「シミがついてしまって」と、みなさんがクリーニング屋に衣類を持ってきます。
「なんのシミですか?」と店頭で聞いて、はっきり答えがかえってくるのはめずらしいケースです。
「なんのシミかわからない」
「何か食べ物だと思うけど」
「いつの間にかついていて......」
という答えが大半です。
だから、ボクらは推理します。
お客さまの生活や仕事、行動などをヒアリングして、なんのシミか、シミがついた原因は何か、などをまず考えます。
なぜそんなことをするかというと、汚れには大きく「油性」「水溶性」「不溶性」という3種類があり、これらが混ざった複合的な汚れもあり、それぞれ対処法を変えなければいけないからです。
その対処法には守るべき順番があって、これを間違えると汚れは取れません。
原因がわからない汚れやシミに対しては、まず推理して、攻め方を考えて、テストしてみて、確信が持てたらやっとシミ抜きの工程に入ります。
みなさんも、ただ「汚れが落ちない......」ではなく、これからはもう一歩マニアックに「水溶性の汚れが落ちない」とか「複合的な汚れだから落ちなかったのか」などと分析してみましょう。
するともっと簡単に、ラクに、効率よく、するすると汚れが落とせるようになります。
クリーニング屋に頼らなければならない頻度も減らすことができます。
汚れの種類と対処法
1.油性の汚れ=弱アルカリ性洗剤のプレウォッシュ(前処理用洗剤)で対処
口紅、マニキュア、マスカラ、ファンデーション、ボールペン、水性ペン、蛍光ペン、クレヨン、絵の具、油粘土、朱肉、ごま油、ドレッシング、チョコレート、機械油など
2.水溶性の汚れ=水洗いで応急処置
コーヒー、お茶、ジュース、赤ワインほか酒類、しょうゆ、牛乳、卵、汗、尿、血液、花粉、草の汁など
3.不溶性の汚れ=弱アルカリ性洗剤のプレウォッシュ後、粉末洗剤を溶かした洗剤液につけおき
泥、ちり、ほこりなど
4.複合的な汚れ=油性の汚れ→水溶性の汚れの順に対処(油性+水溶性)
カレー、ミートソース、焼き肉のたれ、ケチャップ、ドレッシングなど
5.複合的な汚れ=不溶性の汚れと同じ(油性+不溶性)
チューインガム、自転車のチェーンの油など
日常生活でつく汚れのほとんどは、この図のようにさまざまな種類の汚れが混ざっています。
なんの汚れかわからないときは、油性の汚れが取れる弱アルカリ性洗剤のプレウォッシュで対処してください。
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