モラハラ夫に愛想が尽きたら...。弁護士が教える「熟年離婚の裁判対策」/シニア六法(17)

相続、介護、オレオレ詐欺...。年を重ねるにつれ、多くのトラブルに巻き込まれるリスクがありますよね。そこで、住田裕子弁護士の著書『シニア六法』(KADOKAWA)より、トラブルや犯罪に巻き込まれないために「シニア世代が知っておくべき法律」をご紹介。私たちの親を守るため、そして私たちの将来のための知識として、ぜひご一読ください。

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【事例】
結婚以来、夫から四六時中、「誰がお前たちを食べさせてやっているか、わかっているのか」「お前は最低だ」などと言葉で責め立てられ、ちょっとでも失敗をすると執拗に攻撃されてきました。子どもが独立するのを機に、夫に離婚を申し出たいのですが......。


裁判で熟年離婚 モラハラな夫に愛想が尽きた

この事例は、「モラハラ」と呼ばれる行為に当たります。

モラハラとは、「モラルハラスメント」の略で、「倫理、道徳(モラル)に反する嫌がらせ(ハラスメント)」という意味になります。

モラハラの例としては、暴言を吐く、馬鹿にする、相手を否定・無視したり、相手を貶める言動をすることが挙げられます。

家庭内でのモラハラといえば、多くは妻が被害者ですが、夫が被害者の場合もあります。

また、身体的暴力も振るわれているとすれば「ドメスティックバイオレンス(DV)」になります。

両者が合わさっていることもよくあります。

モラハラをする夫に離婚したいと申し出たとき、夫としては受け入れがたいと推測され、話し合いでの解決がむずかしい場合もあるでしょう。

その場合は調停を申し立て、最終的には離婚訴訟をせざるを得ないでしょう。

裁判では離婚原因としての「婚姻を継続しがたい重大な事由」に、モラハラは該当するのでしょうか?

モラハラといっても幅が広く、離婚が認められるのは、その程度が甚だしく酷い場合です。

深夜でもおかまいなし、ことあるごとに妻をとことん徹底的に侮辱するなどということが日常的に発生している状態です。

近隣にも大声等が届いており有名になっていたり、夫婦喧嘩程度という生易しいものではなく、反抗どころか口答えすら許されない状況であったりすれば認められるでしょう。

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証明するための証拠とは?

録音、メールはわかりやすい証拠です。

いつ、誰が、どこで、どのような機会に、どの機器で残したかなどの経緯も記録しておきましょう。

また、メモも後で思い出してまとめ書きをするのではなく、できるだけそのつど記録して残しておきましょう。

乱暴な字、書き方でもかまいません。

行政などの相談窓口での相談、弁護士会等での相談、または、心が疲れていたときの病院通院記録などもあれば、保存しておきましょう。

さらに、相談している親族や友人にもいざというときに証人になってもらえるように依頼しておきましょう。

仲人さんなどの中立的な人ほど証拠として信用性が高くなります。

子どもが後押ししてくれているかも重要です。

なお、裁判等で時間がかかるおそれもあります。

少なくとも生活費半年分の手元資金も用意しておきましょう。

暴言がひどくなって一緒に生活ができないことも想定し、婦人相談の窓口で適切なシェルターなどを紹介してもらい、避難場所も確保しておきましょう。

離婚原因と認められるようなモラハラであれば、財産分与のほか、慰謝料を請求することができます。

しかし慰謝料額はそれほど多くはなく、せいぜい数十万円程度でしょう。

精神的被害は思ったほど多額に算定されないのです。


イラスト/須山奈津希

ほかにも書籍では、認知症や老後資金、介護や熟年離婚など、シニアをめぐるさまざまなトラブルが、6つの章でわかりやすく解説されていますので、興味がある方はチェックしてみてください。

【まとめ読み】『シニア六法』記事リスト

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住田裕子(すみた・ひろこ)
弁護士(第一東京弁護士会)。東京大学法学部卒業。現在、内閣府・総務省・防衛省等の審議会会長等。NPO法人長寿安心会代表理事。

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『シニア六法』

(住田裕子/KADOKAWA)

シニア世代にとって「老・病・死」は身近なものですが、そのうえで健康を維持し、トラブルをなるべく避けて穏やかに過ごしたいと望む方が多いと思います。介護トラブルやオレオレ詐欺に遭ったときの正しい対処法など、「老・病・死」に近づいたときのリスクと対応策が、とっても分かりやすく解説されています。法律を軸にパラパラとめくって、フンフンと頷ける…とっても「ためになる」一冊です!

※この記事は『シニア六法』(住田裕子/KADOKAWA)からの抜粋です。

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