今の60代は無数の仕事から「選べる」立場! 精神科医・和田秀樹先生による「幸せな再就職」のすすめ

「非ホワイトカラー」ならではの喜びがある

「収入さえ気にしなければ」と言いましたが、長年ホワイトカラーとして働いてきた方の場合、もう一つ気になるポイントがあるかもしれません。

それは「職種」です。

再就職先の選択肢は多くありますが、そのほとんどはホワイトカラーではありません。

たとえば、マンションや駐車場の管理人、コンビニやファーストフード店の店員、スーパーのバックヤードの従業員、清掃業などです。

ここでも、昔のことにとらわれないことが大事です。

これらの仕事は、基本的にストレスフリーです。「たまに横柄(おうへい)なお客が来る」といった単発のストレスはあるでしょうが、定年前のような複雑な人間関係は、まず発生しません。

加えて、これらの仕事はお客と直(じか)に接することが多いため、「役に立つ瞬間」をダイレクトに味わえるのがいいところです。コンビニでも、レジで店員に「ありがとう」とひと声かけるお客は少なからずいるものです。そうした瞬間のシンプルな喜びも、張り合いにつながるでしょう。

介護の現場は男手を求めている

「人の役に立つ仕事」の筆頭格が介護職です。

介護業界は、今、他業界にも増して人手不足に悩んでいます。原因の一つは報酬の少なさでしょう。月収およそ20万円台、年収300万〜400万円程度と、していることの意義に比べれば、たしかに低賃金です。しかし、お金を目的とせず働くならば、十分以上の額ではないでしょうか。特に男性にはおすすめです。男手の少ない職場だけに大いに喜ばれ、頼りにされること間違いなしです。

介護職には資格が必要なものもありますが、難易度がさほど高くないものもあります。また、いくつかの条件をクリアすれば、ケアマネージャー資格の試験も受けられます。ケアマネージャーはデスクワークが多いので、体力が衰えてきても働き続けられます。

体力に自信がある方なら、ウーバーイーツで街中を走るもよし、工事現場で汗を流すもよし。ホワイトカラーからもっとも遠い分野ですが、それだけに会社員時代とはひと味もふた味も違うタイプの人と出会えます。視野を広げる経験として、非常に有意義です。

<POINT>
収入や職種にこだわらなければ、働ける場所は無数にある。視野の広がる仕事をすれば、定年後の人生が輝く。

 

和田秀樹
精神科医。1960年、大阪府生まれ。1985年に東京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院、国立水戸病院、浴風会病院精神科、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローなどを経て、現在、立命館大学生命科学部特任教授。映画監督としても活躍している。1987年のベストセラー『受験は要領』以降、精神医学・心理学・受験関連の著書多。近著に『老いの品格』『頭がいい人、悪い人の健康法』(ともにPHP新書)、『50歳からの「脳のトリセツ」』(PHPビジネス新書)、『60歳からはやりたい放題』『60歳からはやりたい放題[実践編]』(ともに扶桑社新書)などがある。

※本記事は和田秀樹著の書籍『60歳からは、「これ」しかやらない 老後不安がたちまち消える「我慢しない生き方」』(PHP研究所)から一部抜粋・編集しました。
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