こんにちは。「さよのシンプルライフブログ」を主宰している原田さよと申します。このコラムでは、人生後半をラクに暮らすための片付けについて、苦手でも続けることのできる方法や、やる気を維持するコツなどについて書いてきました。
前回の記事→収納が苦手な人にもおすすめの100円ショップのフック5選。掃除も片付けも楽になります
このコラムが最終となりますので、今回は、物を減らしながら片付けたことで得られた5つの効果と、なぜ逃げてばかりいた片付けをはじめる気になったかについてご紹介します。
私が本気で「片付けて暮らしをきちんと整えたい」「自分を取り戻したい」と思ったのは、息子を亡くした5か月後、50歳のときでした。
50代にもなれば、どなたも、なにかしら重たいものを背負いながら暮らしておられると思います。私の片付けの経験が、暮らしを軽くするヒントになればと思っています。
このチェストは息子が使っていたもの。今は同居を始めた義母が自室で使ってくれています。
片付かない本当の理由に気付いたとき
結婚後すぐに生まれた息子に障害があるとわかったのは、下の子を産んでひと月ほどした頃でした。以来、私の生活と頭の中の大半を占めていたのは、「まわりの助けを借りながら、この子をどこまで一人で生きていける子に育てられるか」ということでした。
いっぽうで、わが家がいつも片付かないのは、この息子に手がかかるせいだと思い込んでいました。ところが、この考えは大間違いだったと気付きました。卒哭忌(百か日法要)が済み、次の法要まで期間が開くとわかった頃のことです。
息子の死後、せねばならない諸々の行事や片付けが一段落し、数ヶ月経っても、わが家のキッチンやリビングは散らかったまま、なにも変わりませんでした。
探し物が多いのも、粗大ゴミを出し忘れることも、ストックを大量に持たなければ不安なことも、人が来ると決まれば慌ててものを隠すようなその場しのぎの片付け方も。
自分が片付けられないことを息子のせいにしてきたと気付いたとき、やり切れない気持ちでいっぱいになりました。
すでに大きな喪失感と罪悪感でいっぱいだった私の心は、ドロドロのヘドロで埋め尽くされていくようでした。
「このまま、悔やみ続けたり、嘆き続けたりする生活を続けていくのは辛い」。
「片付けてみよう。もう逃げたくはない」。
私は、まず息子の部屋から片付けようと決め、重たい身体を起こしました。
数日後、この思いをブログで公開しました。
片付いた2階の息子の部屋で洗濯物やバッグを干すこともあります。
片付けがもたらす最初の効果
ブログにはさまざまなご意見もいただきましたが、片付けながら書き続けることで、息子との23年間を振り返ることができただけでなく、私自身の内面の変化もはっきりと感じるようになりました。
他の部屋にあった使わなくなっていた物も徐々に処分していくうち、なぜ片付けられないかということだけでなく、どうすれば片付けの苦手を克服できるかということも考えるようになりました。
リフォーム後の食器棚は前の約半分の収納量。食器以外のものも収納していますが、もうこれで十分です。
片付けがもたらす5つの効果
片付けることで得られた効果は次の5つでした。
1.空間の効果
2.時間の効果
3.経済の効果
4.家事ラク
5.自己肯定感アップ
「空間の効果」とは、不要なものが占めていた場所が片付き、部屋や収納を広く使えるようになること。広々していれば、自ずと解放感も増します。
「時間の効果」とは、必要なものをサッと出せたり使えたりすること。1年経った頃には、片付け下手だった私も、もう何かを探してイライラすることはなくなっていました。
「経済の効果」とは、必要な物が見つからず新たに買って間に合わすというような無駄がなくなること。使わないものを保管しておく場所のために、家賃や税金を払うということもなくなります。
「家事ラク」とは、余計な物を処分すれば「使うもの」を「使う場所」で収納できるようになるので、家事もスムーズに行えるようになること。とくにキッチンにいる時は、強くその効果を実感します。何がどこにあるかわかっている安心感は、家事嫌いだと思い込んでいた私に、自信を持たせてくれました。
これは食器棚の引き出しの一部です。家族みんなが必要な物を集め、いちばん使いやすい場所に入れています。
自己肯定感が自分を作っていく
これまでの5年でしてきた、片付け=物を選ぶという行為は、過去をふり返り、どんな自分をも認めようという気持ちに繋がりました。
みっともない自分も、汚い心を持つ自分も、今の私を支えていると知ったのです。
今までどう暮らしてきて、この先どう暮らしていきたいか。今、何を大事にしたいか。これさえわかっていれば、たいていの困難な問題には耐えられるという自信がつきました。
片付けが苦手な人へ向けて書いた最初のコラムはこちらです。
→人生後半をラクに暮らすために、苦手な片付けを克服する一歩目を踏み出す。はじめにやっておくこととは
今、悩みを抱えながら暮らしておられる方がいらしたら、ぜひ、気になっている小さな場所一つの片付けからトライしてほしいです。
そしてできれば、途中でやめないでほしいです。
片付けを続けてさえいれば、必ずその効果を実感できるようになり、自分らしいやり方もわかってきます。それが自信につながり、暮らしの活力になっていくのを、私が今も感じているからです。
原田さよ
FC2ブログ公式ブロガー。累計1350万PVを誇る大人気ブログ「さよのシンプルライフブログ」主宰。1963年生まれ。もともと片付けが苦手で、スッキリした暮らしとは程遠い毎日を送っていたが、50歳を節目に家の大片付けをはじめる。部屋が片付くにつれ、生きやすくなっていることに気付く様子を綴ったブロクが人気を集め、書籍化に至る。まもなく娘が結婚、近くに住む義母との2度目の同居も控え、コツコツと片付けを続けている。著書に『今日からだれでも、片づけ上手。モノ、迷い、重たい気持ちとサヨウナラ』(SBクリエイティブ)。