DVやハラスメント、性犯罪に娘のいじめ...「女性が巻き込まれやすいトラブル」は数多くあります。でも、そうした悩みを解決したくても、「誰かに相談したら逆に悪化するかも...」とどうしていいかわからない人も多いと言います。そこで、弁護士の上谷さくらさんと岸本学さんの著書『おとめ六法』(KADOKAWA)より、女性の味方になってくれる「法律」についてご紹介。ぜひ、ご自身やお子さんがトラブルの参考にしてください。
財産の分け方
婚姻期間中に、夫婦が協力して築いた財産(共有財産)を分けることを、「財産分与」といいます。
分与の割合は、5対5で均等に分けるのが原則です。
妻が専業主婦だとしても、夫と同等の権利を主張できます。
妻が家事に専念することで夫は仕事に集中でき、その結果収入が得られると考えられるからです。
現金や預貯金のほかに、不動産や車、積立型の生命保険の解約返戻金なども対象になります。
結婚前に持っていた財産は、「夫婦で協力して築いた財産」ではないので、その人の「特有財産」となり、分与の対象にはなりません。
また、相続財産も夫婦で協力して築いた財産ではないので、財産分与の対象にはなりません。
婚姻期間中に受けたものであってもです。
双方が納得するのであれば、どのように財産を分けてもかまいません。
また、双方が合意できれば、口頭だけの合意でかまいません。
心配な場合は、後日もめないように、公正証書などにしておくのがいいでしょう。
【事例】
共働きの夫婦。2人とも毎月10万円ずつ家計に拠出し、残りはそれぞれ自分のお小遣いにしようと取り決めてやってきた。わたしはその小遣いを貯金しており、個人の口座に1000万ある。これは分け なくていいお金?
【ANSWER】
これも原則「共有財産」に含まれますので、夫婦で分けます。「共有財産」は名義に関係なく、共同で築いたものとされます。誰の名義の口座か、不動産が誰の名義かに関係なく、半分ずつで分けます。
慰謝料との違い
慰謝料は、不貞行為やDVなどの不法行為があった場合に発生するものですので、財産分与とは別です。
芸能人の離婚などで、「慰謝料1憶円」などと報道されることがありますが、裁判の場合、慰謝料は500万円が限度です。
報道されている「慰謝料」は、財産分与も含まれていると思われます。
【あなたを守る法律】
民法 第768条 財産分与
1 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から2年を経過したときは、この限りでない。
3 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額および方法を定める。
ほかにも書籍では、恋愛・くらし・しごと・結婚など6つの章だてで、女性に起こりうる様々なトラブルに「どう法的に対処すべきか」が解説されていますので、興味がある方はチェックしてみてくださいね。
六法やDV防止法、ストーカー規制法...。女性の一生に寄り添う大切な法律が、6章にわたって解説されています。