災害が起こったら避難所へ避難すればいいと考えている方が多いと思います。では、避難所に行けば安全なのかというと、そうとは限りません。
「日本は避難所が少ないせいもあり、1人に与えられるスペースは約1畳分、仮設トイレは50人に1台です。しかしスフィア基準(人道憲章と人道対応に関する最低基準)が推奨しているのは、1人3.5平方メートル、トイレは20人に1台以上です。また避難所は騒がしく、眠れないなどあり、阪神・淡路大震災では919人もの方が、避難所で亡くなっています」
そう話すのは、多くの企業や自治体の防災アドバイザーを歴任する山村武彦先生。今回は、避難の目安となる「災害警戒レベル」についてお聞きしました。
「大雨・土砂災害」に備える!災害時はいつ避難するかが大切です
2018年の西日本豪雨に続き、今年も梅雨時に九州南部で豪雨が起こり、記録的大雨が頻発しています。いつでも大雨による洪水、土砂災害が発生し得ると考え準備が必要。ハザードマップで自宅の危険度や避難場所までの安全経路を確認し、我が家の防災マップの作成を。
また今年、避難勧告等に関するガイドライン「大雨・土砂災害警戒レベル」が分かりやすいよう5段階に改定されました。「まだ不十分な点もあります。例えば、レベル4になってからでは、一斉に車で避難すると道路が渋滞するなど避難が困難になる恐れがあります。危険区域に住んでいる人は、レベル3のうちに避難を」と山村先生。
夜間や、道路が冠水して避難経路が危険なら、斜面から離れた建物2階へ避難を。家族で話し合い、どのレベルで避難するか決めておきましょう。
<避難勧告等に関するガイドライン大雨・土砂災害警戒レベル>
※各種の情報は、警戒レベル1~5の順番で発表されるとは限りません。状況が急変することもあります。
<事前に確認しましょう>
●ハザードマップ
自治体のHPの「ハザードマップ」を見て、住んでいる地区が土砂災害や津波の影響があるか、液状化地域なのかを確認すること。地震対策の避難所が多いので、洪水や土砂災害時でも安全な避難場所か、災害別に適切な避難所かも調べましょう。
●地名をチェック
国土地理院HPの地図や図書館にある古地図・地域の歴史書などで、自分の住んでいる地名を調べるのも手。昔は池だったか、畑だったかなど地盤の状況が分かります。例えば沼地で地盤が弱い場合は、家の基礎を強化するといった事前対策ができます。