地震や水害などの災害が頻発しています。洪水警報や立ち退き避難、避難勧告など、市区町村から発令される「避難情報の基本」についてきちんと理解できていますか? 気になる災害時の避難について、防災・危機管理アドバイザーの山村武彦さんに教えていただきました。
避難情報を理解し命を守りましょう
近年、日本全国で地震・水害などの災害が頻発しています。不安な気持ちを抱えている方も多いのではないでしょうか。
2018 年9月、台風21号により京都・嵐山の桂川が氾濫。
同年7月の西日本豪雨によりJR芸備線で広島市の鉄橋が崩壊。
「2018年7月の西日本豪雨では倉敷市真備町(まびちょう)に避難指示(緊急)が出されましたが避難できない方が多く、大勢の方が犠牲になりました。各避難情報の違いが分からなかった方、自分は大丈夫だと思って避難しなかった方など、さまざまだったと思います。今後は最悪の事態を防ぐためにも違いを把握し、避難情報が発令されたら防災訓練のつもりで避難をしてください」。(山村先生)
西日本豪雨による岡山県での被害の様子。
避難情報が発令されたのが夜間やすでに浸水している場合、避難するのは危険で自宅の2階などで安全を確保して助けを求める方がいい場合もあります。避難情報の基本を理解して、自分で判断できる力をつけましょう。
■覚えておきたい指定避難場所
洪水情報や土砂災害警戒情報のほか、立ち退き避難、災害対策基本法で定められている指定避難場所は、基本から理解しておきましょう。この記事を印刷し、必要に応じて項目を記入して、目につくところに貼っておくのもよいでしょう。
立ち退き避難、屋内安全確保とは?
●立ち退き避難(水平避難)
市区町村が指定している避難所や、知人・親戚の家など災害の心配がない安全な場所へ移動すること。
●屋内安全確保(垂直避難)
斜面から離れた建物内の安全な場所(建物の2階以上)で安全を確保すること。その場合は水や食料、電子機器、貴重品などを2階へ持ち込み、ブレーカーを落とす。
洪水警報、土砂災害警戒情報、津波警報とは?
●洪水警報
大雨や長雨などによって河川が増水、氾濫して重大な災害が起こるおそれのある場合に発令される警報。
●土砂災害警戒情報
大雨警報(土砂災害)が発表され、命に危険を及ぼす土砂災害がいつ発生してもおかしくない状況となった時に警戒を呼びかける情報。
●津波警報
地震などが発生した場合など、津波の発生が予想される時に避難を呼びかける情報。
■指定避難所と指定緊急避難所の違い
災害が発生した場合の避難先は、指定避難所と指定緊急避難場所があります。いずれも災害対策基本法に基づき市区町村が指定します。※名称は自治体により異なります。
●指定避難所
避難した居住者などが災害の危険がなくなるまで一時的に滞在、または災害により自宅へ戻れなくなった居住者等が一定期間滞在する施設。
学校の体育館、公民館などの建物
私の指定避難所は「 」です。
●指定緊急避難所
津波や洪水などの災害が発生、または発生するおそれがある場合、その災害から逃れて命を守るために、緊急的に避難する場所
学校のグラウンド、駐車場などの屋外
私の指定緊急避難所は「 」です。
※自治体によっては「一時(いっとき)避難場所」というものがあります
一時避難場所とは、災害が発生し指定緊急避難場所などに避難する前に、地区住民が一時的に集まる公園といった小規模の避難場所を指します。定められていない自治体もあります。
私の一時避難場所は「 」です。
■避難情報は原則3段階
災害の発生が差し迫り避難が必要になった際の避難情報はいずれも災害対策基本法に基づきテレビ、ラジオなどを通じて市区町村より発令され、原則3段階に分かれます。
・避難準備・高齢者等避難開始
事態によっては避難勧告や避難指示(緊急)の発令が予想されるため、避難の準備を呼びかけるもの。高齢者や体が不自由で避難するのに時間がかかる人は介助者と一緒に避難を開始してくださいという情報。危険だと感じた人はこの時点で避難を開始してください。
・避難勧告
災害による被害が予想され、人的被害が発生する可能性が高まった場合に発せられる勧告。居住者に指定緊急避難場所や安全な場所などへの立ち退き避難を促します。
・避難指示(緊急)
すでに災害が発生していてもおかしくない状況で、人的被害の危険性が非常に高い場合に発せられる。「避難勧告」よりも強制力が強く、直ちに避難しなくてはいけない状況。
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取材・文/中沢文子 イラスト/コウゼンアヤコ