コスメポーチや化粧品ボックスを開けると、サンプルでもらった化粧品や、使い切れずに残ってしまった化粧品、いつ開封したかも定かではない使いかけの化粧品が入っているという方、多いのではないでしょうか。「いつか使うかも」「せっかく買ったのに」と、捨てられずにとっておいても、実はもう使えない状態になっているかもしれません。今回は、化粧品の使用期限や、長持ちさせるための保管方法について解説します。
化粧品の使用期限とは? どこに書いてあるの?
普段、あまり意識することはないかもしれませんが、食品同様、化粧品にも期限があります。
しかし、化粧品の容器やパッケージを見回しても、製造日や使用期限が明記されていないケースもしばしば。
では、期限の表記がある化粧品とない化粧品の違いとは?
化粧品の使用期限に関する表記について、詳しく見てみましょう。
■化粧品の使用期限は、基本的に製造または輸入後3年と覚えておくべし
化粧品の使用期限表示には、「医薬品医療機器等法」という法律が大きく関係しています。
この法律では、化粧品の表示に関して「製造又は輸入後、適切な保存条件のもとで3年を超えて性状及び品質が安定な医薬部外品及び化粧品」には使用期限を記載する義務はないとされています。
つまり、特別な表記がない化粧品に関しては、製造または輸入後に適切な保管状態であれば約3年は問題なく使用できるということです。
■使用期限の記載がある化粧品とは?
一方で、化粧品の容器や箱に使用期限が明記されている化粧品もあります。
これは、3年間の品質が保証されていない場合です。
使用期限の記載がある化粧品は、例えば防腐剤を使っていないオーガニックコスメや、敏感肌の方向けの無添加化粧品、デリケートな成分を含む化粧品などが挙げられます。
製造年月日や使用期限の記載がない場合にも、数字やアルファベットで表記されているロット番号をもとにメーカーに問い合わせることで、製造日や製造状況を識別できることがあります。
気になる場合は一度、メーカーなどに問い合わせて調べてみても良いでしょう。
開封済みの化粧品は、いつまで使える?
ここで注意が必要な点は、化粧品の使用期限というのは、あくまでも未開封の状態を指すということです。
一旦開封して空気などに触れると、酸化が始まり、品質に変化が生じます。
品質が低下した化粧品を使うことで、肌を守ったり美しくしたりするという本来の目的からはかけ離れ、逆にお肌のトラブルを引き起こす原因になることも。
開封済みの化粧品を使える期限の目安や、変質した化粧品を見極めるポイントをまとめます。
■開封済みの化粧品が使える期間はどのくらい?
開封後の化粧品の使用期限は、コスメの種類や商品、保存状態によってさまざまです。
基礎化粧品などは、メーカーが推奨する使用量を守って継続して使い続ければ、使用期限を大幅に過ぎることなく、使い切れるのが通例でしょう。
しかし、使用頻度が低いものや、日毎に色などを使い分けるために、何個も併用している化粧品などは、開封してからもなかなか使い切れずに残ってしまうことも。
開封後の使用期限は、半年から1年程度といわれることが多いものの、商品によっても劣化の速度は異なりますので、気になる場合はメーカーに確認をするようにしましょう。
特に、マスカラや口紅など水分が多く、粘膜や唾液などの体液と接触するものは、劣化による肌トラブルのリスクが高まります。
3カ月程度など、短めの期間を目安にすると良いでしょう。
■匂いの変化でわかる? 化粧品の品質
化粧品の品質劣化が顕著な例として、異臭がする場合が挙げられます。
これは雑菌が入って腐敗してしまった、化粧品に含まれる油分が酸化してしまった、などの要因が考えられます。
■見た目の変化、質感の変化にも要注意
異臭のほかにも、視覚的や触覚的に変化が生じる場合もあります。
油分が分離してしまっている、質感や手触りなどが購入時と異なっている、変色していたり、濁っていたりするなど。
以下のような異変が気になる場合は、注意が必要です。
・変色
・濁り
・分離
・ざらつき
・ねっとり感 etc
いくらもったいないからと言っても、使い続けることがお肌にとって逆効果になることも。
開封後はできる限り早く使い切ること、判断に迷った場合はメーカーに問い合わせることなどを意識すると良いでしょう。
そして時には、思い切って捨てる勇気も必要です。
期限切れの化粧品や、劣化が進んだ化粧品を使うことは、肌トラブルの原因に
期限切れの化粧品や、開封後、時間が経過して劣化が進んだ化粧品を使うと、どのような影響が生じるのでしょうか。
お肌に直接触れ、さらにデリケートな部分の多い、顔に用いることが多い化粧品だからこそ、適切な使用方法を守らないと、肌トラブルのリスクが高まってしまいます。
■期限切れ化粧品によるトラブル1:肌荒れ
期限切れや、開封後、品質が低下した化粧品を使った際の代表的なトラブルといえば、肌荒れです。
雑菌が繁殖していたり、油分が変質していたりすると、皮膚の炎症や吹き出ものといった肌荒れを引き起こす原因になります。
・ニキビ、吹き出もの
・シミ、そばかす
・乾燥、シワ
・色素沈着
など
■期限切れ化粧品によるトラブル2:感染症
デリケートな部分に使う化粧品は、特に注意が必要です。
例えば目の周りに使うマスカラやアイライナーなど。
化粧品を通じて雑菌が目の中に入ると、充血やかゆみが生じたり、場合によってはまぶたや結膜の感染症を引き起こしたりというリスクが高まります。
・結膜炎
・ものもらい
・目の充血
・目のかゆみ
など
化粧品の適切な保管方法と使用方法とは?
化粧品の使用期限の目安とされる3年という期間は、未開封で、あくまでも適正な状態で保管した場合です。
適切な保管方法や使用方法を知り、本来の質を維持したまま、化粧品を無駄なく使い切りましょう。
■常温の暗所で保存が鉄則
化粧品にとっての最適な保管環境は、温度や湿度の変化が少なく、高温多湿ではないこと、直射日光が当たらない常温の場所という説が一般的です。
真夏に、窓の近くや車の中に放置することは絶対に避けましょう。
逆に冬場、冷え込む場所に置いておくと、固まったり成分が分離したりということも考えられます。
■冷蔵庫での保管はNG!?
冷蔵庫で化粧品を保管すると、出し入れによる急激な温度変化が原因で、品質の安全性を損なったり、性質や状態の変化を引き起こす原因になったりすることが考えられるため、あまり推奨されていないケースが多いようです。
また、ひんやりして気持ち良いからと化粧水を冷蔵庫で冷やす人もいますが、成分の分離などの原因になる可能性も。
冷蔵庫保管を推奨している化粧品以外は避けた方が無難でしょう。
■直接触れないように扱う
化粧品自体に直接触れてしまうと、雑菌が混ざってしまいます。
ジャータイプの化粧品を使用する際は雑菌が入るのを防ぐため、スパチュラを使用しましょう。
■中身の詰め替えや、一度出した中身を戻すことは避けるべし
旅行用や見た目をすっきりさせるためにと、化粧品を詰め替えて使う方もいます。
しかし、容器から出した時点で劣化が始まりますので、小分けや詰め替えをした際はすぐに使い切るようにしましょう。
また、一度容器から出した中身を再び戻してしまうと、雑菌が入り、繁殖してしまうので厳禁です。
■蓋はきっちり閉める
化粧品にとっての大敵は、酸化です。
空気に触れて酸化しないよう、蓋はきちんと閉めましょう。
また使用後など、容器の口に中身がついている場合には、こまめに拭き取ることを意識してください。
今回は化粧品の使用期限と保管方法、使用時の注意点などについてご紹介しました。
一般的に、特別な表記がなければ製造または輸入から未開封で3年。
開封後は半年前後を目安に、なるべく早く使い切ることを目指しましょう。
そして何より、開封、未開封にかかわらず、適切な保管状況を保つことが、化粧品の品質を保つための鍵となります。
温度・湿度の変化を避ける、酸化を防ぐ、清潔に保つということを心がけて、最後まで効果的に使い切りましょう。