日々健康で明るく過ごすための源となるのは、「食べ飽きないふだんのごはん」。ですが、飾らない家庭料理ほどごまかしがきかず、意外と難しいですよね。新鮮な素材選び、調理のひと手間、火加減......。特別な素材や技術がなくても、ほんの少しの工夫で、ぐっとおいしく仕上がるものです。
本書『ふたりのごはん』では、ホテルオークラ元総料理長の根岸規雄さんと料理研究家の石原洋子さんご夫妻が、日々の食卓を紹介。旬の素材を基本的な調味料でおいしくいただくアイデアの数々を学び、シンプルかつ豊かな食生活を楽しみましょう。今回は11回目です。
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ふたりでも雰囲気を含めて食べることを大切に
夕飯はほとんどふたりですが、ときどきお客さんや近所に住む孫が来てにぎやかになることもあります。ふたりだけでも銀のカトラリーを使ったり、骨董の和食器を使ったりして、雰囲気を含めて食べることを大切にしています。(規雄)
フライパンで簡単に作る鍋照り
【ぶりの照り焼き】
秋冬になるとよく登場する魚がぶりです。ぶりの切り身には腹と背がありますが、我が家ではいつも脂の多い腹より、あっさりしている背の部分を購入しています。天然ものは養殖ものに比べて身がしまり、色もきれい。少し高くても天然を選ぶことをおすすめします。
調理法は照り焼きのほかしょうゆ麹に漬けたり、幽庵焼きにしたり、大根と煮つけたり。焼いたり煮たりでよく食べます。照り焼きはグリルで漬け焼きの方法もありますが、フライパンで鍋照りにすることがほとんど。フライパンでたれを煮からめると、短時間で味がしみます。素早くできて後片付けも楽なところがいいですね。味をからめるときは、下味のたれにさらに砂糖を加えて甘辛く仕上げるとコクが出ます。(洋子)
【材料】(2人分)
ぶり(背)...2切れ
〈下味〉
・酒...大さじ1 1/2
・みりん...大さじ1 1/2
・しょうゆ...大さじ1 1/2
砂糖...大さじ1/2
サラダ油...大さじ1
長ねぎ...1/2本
【作り方】
1. ぶりは下味の調味料を合わせたものに20分ほど漬ける。途中で一度返す。長ねぎは3〜4cm長さに切る。
2. フライパンに油を熱し、器に盛ったときに表になる側を下にして入れ、長ねぎも入れて途中返しながら、弱めの中火で2分ほど焼く。焦げないように注意し、きれいな焼き色がついたら裏返して2分ほど焼く。長ねぎだけ取り出し、器に盛る。
3. 2のフライパンに、残っている1の下味の調味料と砂糖を加え、フライパンをゆすって5分ほどぶりの両面にたれをからませ、ねぎと盛り合わせる。
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撮影/南雲保夫