よく「憂うつ」になってしまう人は、実は「未来」を見ている!? 憂うつになる原因を、「未来の自分を考えすぎているから」というのは心理カウンセラーの大嶋信頼さん。そんな大嶋さんの著書『憂うつデトックス』(ワニブックス)には、先々のことを想像しすぎることで憂うつになってしまう原因と、そこから解放される思考メソッドがまとめられています。今回はそのエッセンスを厳選して、連載形式でお届けします。
マウンティングにうんざり
ある男性は、同僚からの「マウンティング」に悩まされていて、職場に行くことを考えるだけで憂うつな気分になっていました。
何かというと自慢話をしてきて「家族と旅行に行ってきた」とか「ドライブに行ってきた」と聞かされて、こちらがその話に興味を持つと「お前もどこかに行ったんじゃないの?」とどこにも行っていないのをわかっているのに聞いてくる。
「どこにも行っていない」と同僚に話すと「いや、家族と過ごすと疲れるから一人でいた方が絶対にいいって! お前のことが羨ましいよ」とフォローする体でマウンティングをされて嫌な気持ちにさせられます。
他の同僚と世間話をしていると、すぐにその同僚が入ってきて自慢話をし始めます。
周りの人を不快にさせちゃいけない、と気を遣って話に興味があるふりをして聞いていますが、どんどん男性の中に怒りが溜まって「この人本当に嫌!」という感じで爆発的な怒りが吹き出しそうになり、それを抑えているだけで苦しくなってしまうんです。
そんな同僚の未来を変えるというのは、ピンときません。
だって、あの同僚は自分に満足していて、自分が一番だからマウンティングを男性にしてくるんでしょ?
自分が一番だと思っている相手を変えるったって変えようがないじゃないと男性はあまりやる気がしません。
でも、同僚が転職しない限りはずっと職場が不快なままだから「もしかしたら、同僚の未来を変えたら転職をしてくれるかもしれない」という希望を持って、試してみることにします。
実はかわいそうな奴だった
「どうやったらあのマウンティングをしてくる同僚を変えることができるんだ?」と考えてみると「あいつは無理」と何をやっても、何を言っても変わらない同僚の姿がそこにあります。
そこで、同僚の立場になって「同僚はどんなことを感じているんだ?」と確かめてみます。
同僚になりきって、周りの風景を見たときに「えっ! みんなから嫌われている、という感覚がバリバリあるんだ」ということが伝わってきてびっくりします。
嫌われているのがわかっているから、自分の居場所を作るために自慢話をしたりしてマウンティングをしてくるんだ、ということがわかってきたんです。
そしたら「この同僚はかわいそうな子なんだ」と思っただけで、イメージの中で同僚の態度が変わって大人しくなってしまったのでびっくりします。
「まあ、でもイメージの中だけだから」と思いながらも「あいつはかわいそうなやつなんだ」と頭の中では思っていたんです。
すると、職場に行ったら「同僚が転職をするって!」と本当に同僚が転職をすることになってびっくりします。
ちょっとだけ「もしかしたら自分がそう仕向けてしまったのかも?」と罪悪感が湧いてきましたが「あいつはかわいそうなやつなんだ」と思ったら「まあいいか!」と気持ちがスッキリするから不思議です。
そして「あいつはかわいそうなやつなんだ」と思っていると、一緒に働いている残りの期間は「ちっとも不快じゃない」となって、相手もマウンティングをしてこなくなり「ちょっと寂しいかも」と思うようになっていくから人間は不思議です。
同僚の未来が変わり、そして男性の未来も変わっていったんです。
【最初から読む】16個以上で「定年後の未来」まで見えちゃっているかも!?
憂うつの正体と、つらい状況から抜け出せるシーン別メソッドを全5章で解説。自分の状態がわかる「憂うつ度診断」のチェックリストも付いています