2軸思考の基本「マトリクス」タイプの作り方(1)/2軸思考

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「頭の中がごちゃごちゃで、仕事が前に進まない」「次から次へと問題が起こってスケジュールが遅延している」...こうした複雑な問題を一瞬でシンプルにしたいなら、紙に、2本の線を引いてみてください。
本書『2軸思考』で、あらゆる問題をタテとヨコの2軸で整理して考える方法を学び、最速の時間で最大の成果をあげていきましょう! 今回はその14回目です。

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前の記事「シンプルで自由度が高い! 2軸フレームワークを作る3つのステップ/2軸思考(13)」はこちら。

 

何にでも使える「マトリクス」タイプの作り方

[ステップ 1]考える目的に合わせて枠のタイプを決める
マトリクスタイプは、2本の線を左上で交差させて作る、2軸思考の一番基本となるフレームワークです。

マトリクスタイプの一番の特徴は、「全体を俯瞰することができる」こと。あらゆる場面で使え、たいていのことは整理することができます。

たとえば、
・問題の全体像を捉えたい
・目の前の雑多な事象を整理したい
・複数の選択肢から意思決定するために優先順位をつけたい
というような場合に特に有効です。

3つの2軸タイプのうちどれを使えばいいのかがすぐにはわからなかったり、迷ったりするときは、まずこのマトリクスタイプを使ってみてください。マトリクスタイプで整理することで何かが見えてきて、次のアクションにつなげることができます。

 

[ステップ 2]タテ軸とヨコ軸を決める

マトリクスタイプの2つの軸は、主に「要素×要素」のパターンと「流れ×要素」のパターンのいずれかとなります。マトリクスタイプは基本的に自由度が高く、融通も利きやすいのですが、軸を決めるときには気をつけることがいくつかあります。

 

・タテ軸、ヨコ軸ともにMECEで洗い出す
まず、一番重要なのがタテ軸とヨコ軸とも「MECE」で洗い出すことです。MECEはご存じの方もいると思いますが、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略で、「モレなく、ダブりなく」というロジカルシンキングの基本中の基本となる考え方です。

ここで特に気をつけないといけないのは、「ダブり」よりも「モレ」です。モレとは、本来、軸の要素として考慮しなければいけないものが抜けてしまっていること。大げさな例で言うと、「アジアでどこに進出するか」を考えるときに「インドについての考慮がモレた」というようなことです。

仕事が進むにつれて、考慮モレの影響は大きくなり、リカバリーが難しくなるので注意が必要です。先ほどのようにアジアの大国のひとつであるインドのリサーチがモレていたら、致命的ですよね。

一方で、すべての要素を洗い出すのはかなり大変です。アジアと言ってもたくさんの国があり、検討するにも時間に限りがあります。

そのようなときに便利なのが「その他」です。必要十分な要素を洗い出したら、あとは「その他」で枠取りだけしておけば、思考プロセスとしてはモレがなくなりMECEになります。あとで必要になったタイミングで、「その他」をブレイクダウンすればいいわけです。

考慮にモレがあることと、意図的に「その他」で括ることでは意味合いがまったく違うので、ここは強く意識してください。

また、タテ軸とヨコ軸とも、それぞれの軸においては洗い出す項目は同じレベルのもの、同じカテゴリのものにしましょう。たとえば、「車」について考えているときに「メーカー」と「車種」を同列で洗い出してはいけません。

 

・要素の数は「タテ軸>ヨコ軸」とする
タテ軸とヨコ軸の決め方にはコツがあります。
たとえば、分析したい商品が100個あるなど、項目数が多くなることがわかっている場合はそれをタテ軸に設定したほうがいいでしょう。マトリクスはヨコに広げるよりもタテに伸ばしたほうが見やすくなります。

エクセルで作った表をイメージするとわかりやすいですが、ヨコにスクロールする表は全容が捉えづらく、理解しにくくなります。逆に、ヨコ軸が短くタテ方向に伸びている表は見やすく、頭に入ってきやすくなります。表をタテとヨコのどちらかの方向に広げるなら、ヨコよりもタテに広げましょう。

 

・流れ(時間・フロー)はヨコ軸で7項目以内に収める
流れを軸に取る場合は、基本はヨコ軸にするようにしましょう。時間や作業・モノの流れが左から右に流れていると、頭にしっくりくるからです。これは、カレンダーや経済学のモデルなど、あらゆる場面で使われている不変の法則です。

そして、流れはあまり細かくならないよう、「適切な大きさの塊」にします。いきなり50個の細かい作業プロセスについて考え始めるとうまくいきません。

ビジネスでは3、5、7がマジカルナンバーと言われるように、せいぜい7つ以下に収めるようにしましょう。細かくする必要があるときは、項目は増やさず、その部分だけ別の図にしてブレイクダウンするようにしてください。

  

次の記事「2軸思考の基本「マトリクス」タイプの作り方(2)/2軸思考(15)」はこちら。

木部 智之(きべ・ともゆき)

日本IBMエグゼクティブ・プロジェクト・マネジャー。横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了。2002年に日本IBMにシステム・エンジニアとして入社。入社3年目にしてプロジェクト・マネジャーを経験。その後、2006年のプロジェクトでフィリピン人メンバーと一緒に仕事をする機会を得る。2009年に役員のスタッフ職を経験し、2010年には 最大級の大規模システム開発プロジェクトにアサインされ、中国の大連への赴任も経験。日本と大連で500人以上のチームをリードしてきた。プロジェクト内で自分のチームメンバーを育成するためにビジネススキル講座を始め、そのコンテンツは社内でも評判となった。著書に『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』(KADOKAWA)がある。

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『2軸思考』
(木部智之/KADOKAWA)


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