「頭の中がごちゃごちゃで、仕事が前に進まない」「次から次へと問題が起こってスケジュールが遅延している」...こうした複雑な問題を一瞬でシンプルにしたいなら、紙に、2本の線を引いてみてください。
本書『2軸思考』で、あらゆる問題をタテとヨコの2軸で整理して考える方法を学び、最速の時間で最大の成果をあげていきましょう! 今回はその13回目です。
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前の記事「2軸思考を使うと、効率的に新しいアイデアが出る/2軸思考(12)」はこちら。
2軸フレームワークを作る「3つのステップ」
この章では、2軸でフレームワークを作るための具体的な方法を紹介していきます。2軸のフレームワークの作り方はとてもシンプルで、次の3ステップで簡単に作りあげることができます。
[ステップ 1] 考える目的に合わせて枠のタイプを決める
[ステップ 2]タテ軸とヨコ軸を決める
[ステップ 3]枠に情報を埋める
たったこれだけです。とにかくシンプルで覚えることが少なく、自由度が高いのがこの2軸思考の特徴です。
[ステップ 1] 考える目的に合わせて枠のタイプを決める
2軸のフレームワークは、
1 「マトリクス」タイプ
2 「4象限」タイプ
3 「グラフ」タイプ
の3つに分類できます。
まず最初のステップは、考える目的を明確にし、この3つのどのタイプを使うかを決めることです。
日々の私たちの仕事には
・目の前で起きている問題を解決する
・手元にあるデータを分析する
・実行すると決めたアクションを整理する
・新しいビジネスを立ち上げる
など、いろいろなシチュエーションがあります。2軸で何をしたいのか、何のために考えるかによってどのタイプの枠にするかは変わってきます。
最初に思考の目的を考えるのは、なにも2軸思考に限ったことではありません。既存のフレームワークを使う場合でも、考える目的があって、それに合ったフレームワークを選択します。たとえば、事業活動の流れを整理するために「バリューチェーン分析」を使う、組織のリーダーバランスを確認して人事方針を決めるために「PM理論」を使うといった具合です。
何を目的に思考するかを明確にし、考える枠組みを決める。これが最初のステップになります。
[ステップ 2] タテ軸とヨコ軸を決める
目的に合わせた2軸のタイプを決めたあとは、2本の線=タテとヨコのそれぞれの軸を何にするのかを決めます。軸となりうるのは、どのタイプにおいても、
・要素
・流れ
の2つのどちらかになります。
要素とは、たとえば「商品」「売上」や「部門」など、ある観点で洗い出したパラメータです。流れとは、「時間」「工程」などを表すものです。
別の言い方をすれば、要素は静的な断面情報で、流れは動的な変化を表す情報と言うこともできます。
[ステップ 3] 枠に情報を埋める
ステップ2までで考える枠、つまり思考のフレームワークができました。あとはその枠の中に情報を埋めていくだけです。
どのタイプも枠の中には、
・定量情報:数字
・定性情報:数字以外
いずれかを入れていきます。
では、3つのタイプごとに、この3つのステップに沿って2軸の作り方を見ていきましょう。
※ここからは同じステップを3つのタイプにおいて繰り返します。一読すると重複する感じがするかもしれませんが、実際に2軸を作るときの思考プロセスに沿った構成としています。
次の記事「2軸思考の基本「マトリクス」タイプの作り方(1)/2軸思考(14)」はこちら。
木部 智之(きべ・ともゆき)
日本IBMエグゼクティブ・プロジェクト・マネジャー。横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了。2002年に日本IBMにシステム・エンジニアとして入社。入社3年目にしてプロジェクト・マネジャーを経験。その後、2006年のプロジェクトでフィリピン人メンバーと一緒に仕事をする機会を得る。2009年に役員のスタッフ職を経験し、2010年には 最大級の大規模システム開発プロジェクトにアサインされ、中国の大連への赴任も経験。日本と大連で500人以上のチームをリードしてきた。プロジェクト内で自分のチームメンバーを育成するためにビジネススキル講座を始め、そのコンテンツは社内でも評判となった。著書に『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』(KADOKAWA)がある。
『2軸思考』
(木部智之/KADOKAWA)
頭の整理も、資料作成も、報告・指示、打ち合わせも、「線を2本引くだけ」で思考のスピードが爆速に! IBMで15年活躍する著者による独自メソッドを公開します。初心者でも、どんな業種でも使える「世界一簡単なフレームワーク」の作り方を凝縮。