テレビ東京系列で放送中の『太川蛭子の旅バラ』では、独特な語り口でお茶の間を和ませている蛭子能収さん。10月には、『死にたくない 一億総終活時代の人生観』も発刊されました。著書にまつわるお話や夫婦円満の秘訣など、さまざまにお伺いしました。
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「おぉ、分かった!」が夫婦円満の秘訣
――蛭子さんは、愛妻家としても広く知られています。夫婦円満の秘訣(ひけつ)はどんなところにあるのでしょう?
とにかく女房の言う通りに動くこと。それしかないかなぁ。
女房が「これが食べたい」とか、「あそこに行きたい」とか言ったら、全部その通りにする。
女房の言うことには「おぉ、分かった!」って、即答します。
少し前から、いまの妻(最初の奥様とは2001年に死別)の連れ子(娘)が子どもを産んで、僕の家の近所に住んでいるんです。
僕にとっては孫になるわけで、その子はかわいいんだけど、僕は家族ともどう付き合ったらいいのか考えるのがすごく苦手。
でも、女房から「明日は娘の家に行くからね」と言われれば、「おぉ、分かった!」って返事をして、一緒に行きます。
そうすれば、楽しい。
よくよく考えたら血はつながっていないのですけれど、孫はとてもかわいいし、家族といる時間は楽しいものだなと思います。
――ご自宅ではどんなふうに過ごされることが多いでしょう?
自宅では、仕事をしていることがいちばん多いです。
机の上で書く仕事がいろいろたまっていまして、「今日はやりたくないなぁ」って思いながらも、結局書いていることが多いです(笑)。
でも、本当は外に行くのがすごく好きなんです。だから、本当に時々ですけれど、女房と一緒に近くの山へ登りに行くこともありますね。
山の上にカフェがあって、そこに行って2人でお茶をすることもありますね。
普段は仕事の合間に、事務所のスタッフと近所の川沿いを散歩する程度です。
――著書には、とにかく仕事をしていたいとありましたが?
収入が途絶えることが、本当に不安なんです。
いまは漫画を描いたり、タレント業をやらせてもらったりしているけれど、将来的には自分が好きな仕事じゃなくても、お金をもらえるならば、何でもやる覚悟はしていますね。
テレビの仕事をするようになってからも、「これはいやだ」とか、「これはできません」とか言ったことはほとんどないと思う。
これまでに断った仕事といえばバンジージャンプぐらいかな。
最近は、「絶叫マシンに乗る」とか、「落とし穴に落ちる」とか、そういった体を張るような依頼は、さすがに年齢的に厳しいからと断りやすくなりました。
年をとって良かったです(笑)。
――お金がないと不安とのことですが、お金の管理は奥様がされているんですよね?
そうですね。もう、全部まかせています。いま、自分がどれだけの貯金を持っているかすらまったく把握できていません。
必要なときに必要な分のお金を女房からもらうシステム。
でも、必要なときにもらうようにしていると、時々もらいそこねてしまうときがあるので、本当ならお小遣い制の方がいいですね(笑)。もらいそこねると、言い出しにくいから(笑)。
――結婚当初から、お金の管理に関しては全て奥様がされていたのでしょうか?
いやいや、女房が管理するようになったのは、ここ2~3年ぐらいかな。
僕は、もともと物はそれほど買わないし、お金を使うところといえば競艇ぐらい。
競艇に行かなければ食費ぐらいしか使わないから、必要なときにもらうので十分なんです。
そもそもお小遣い制になったのは、僕が「お金のやりくり」というものを得意ではなかったから。だからこれまでギャンブルに相当なお金をつぎ込んできました。
その様子を見ていた妻が「このままでは破滅してしまう!」と、老後に不安を感じたせいだろうと思うんです。
考えてみれば、妻に全部まかせることができる僕はラッキーかもしれません。
なぜなら、僕は「お金のやりくり」というものにあまり向き合いたくないからです。
もしこの年齢(71歳)で、「お金がない!」などと判明したら、怖くて不安になって、ごはんが喉を通らなくなりそうです。
そして、いくら働いても手元にあまりお金がないから、それゆえに働き続けるというモチベーションを保てている気がします。
取材・文/笑(寳田真由美) 撮影/齋藤ジン