古来、政権の中心だった大和国(現在の奈良県)から見て北西にある出雲は、日が沈む聖地、として知られていました。出雲市の西方にある海岸線は、『出雲国風土記』では神が創ったと記され、特に出雲の人々は夕日を神聖なものとして畏敬の念を抱いていたといいます。
また、プロテニスプレーヤー・錦織圭選手ゆかりの地としても知られ、いま県外から多くの人々が来訪している人気のスポットです。
「日本遺産」認定!出雲神話の舞台ともなった。"日が沈む聖地"へ
2017年、この一帯にある日御碕や稲佐の浜、神社、神事など3の関連文化財が「日が沈む聖地出雲~神が創り出した地の夕日を巡る〜」として日本遺産に認定されました。
太陽の象徴、天照大神が祭られる社が立つ 日御碕(ひのみさき)
出雲日御碕灯台の向こうに沈む夕日。奇岩や絶壁が入り組む海岸線が赤く染まります
日御碕はその名のとおり、古くから「日」に縁がある岬。
そこに立つ日御碕神社には、出雲では夕日に象徴される天照大神を祭神とする「日況宮(ひしずみのみや)」があり、「日が沈む聖地の宮」として美しい夕日を見守っています。
素盞鳴尊(すさのおのみこと)を祭る「神の宮」、天照大神を祭る「日流宮」の二社から成る日御碕神社
一年に一度、全国の神々をお迎えする稲佐の浜
南北約13.5kmに広がる稲佐の浜。こんもりとした弁天島には海の神が祭られています
稲佐の浜もまた、夕日の名所です。
『古事記』や『日本書紀』に書かれた「国譲り神話」の舞台で、『出雲国風土記』にも登場する地。「神在祭」では、日没後に全国の神々を迎える「神迎(かみむかえ)神事」も行われます。
出雲神話にちなんだ海岸線と海に沈む夕日。この地の祈りの歴史を語り継ぐ壮大な風景です。
美しい夕日はクルージングでも見られます
日御碕から約9km東にある鷺浦(さぎうら)湾では「地元漁師と巡る 鷺浦湾と海岸線クルージング」を楽しめます。
日没30分前から出航するサンセットプランがおすすめ。
問:出雲観光協会
時:2020年4月下旬~8月(要予約)
料:3,000円~
1903(明治36)年に設置された出雲日御碕灯台。高さ43.65m、海面から灯塔の頭上まで63.30mと日本一の高さ。
住:島根県出雲市大社町日御碕1478
電:0853-54-5341
島根県出身の錦織圭選手のラケットにもこの灯台がデザインされています!
プロテニスプレーヤー・錦織圭選手自身がデザインを手がけた「ULTRA TOUR 95CV Kei Limited 2019」には、灯台のロゴが入っています。
青い空と海に向かって凛とそびえる姿が世界に挑み続ける自身と重なり、選ばれました。
限定1,200本。
電:03-6831-2710(ウイルソン)
出雲市内への交通
空の玄関口は出雲縁結び空港。空港連絡バスでJR出雲市駅まで約30分、出雲大社まで約45分。電車の場合、JR出雲市駅からバスで出雲大社まで約40分、日御碕まで約1時間。
出雲観光協会
住:島根県出雲市大社町北荒木441-3
電:0853-53-2112
営:8:30~17:15
休:日曜(祝日の場合は翌日)
取材・文/岡田知子 (BLOOM) 写真提供/(一社)出雲観光協会、(公社)島根県観光連盟 取材協力/(一社)出雲観光協会