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※この記事は『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(涌井貞美/KADOKAWA)からの抜粋です。
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赤緑青の光を均等に散乱する「ミー散乱」
水滴や氷でできた雲が〝白い〟理由
水滴や氷の粒は透明です。しかし、それからできた雲は白く空に浮かんでいます。雲が白い秘密は、「光」の性質にあります。
光は散乱という性質を持ちます。光が微粒子に当たると、それらを振動させ、新たに同じ波長の光を放出する性質です。微粒子が光の〝中継基地〟になるわけです。
人の見る色は赤、緑、青の光からつくられます。おもしろいことに、雲の中の水滴や氷の粒の大きさの場合、各色の光は均等に散乱されます。これをミー散乱といいます。結果として雲からの光は赤、緑、青が合わさった光、つまり白色光になるのです。もともと透明な雲はこのミー散乱のために白く見えているのです。
ところで、同じ雲でも雨雲は黒く見えます。それは雨雲が厚いためです。ミー散乱を繰り返すうちに光が減衰(げんすい)し、雨雲の下では暗くなるのです。
ミー散乱以外にも、異なる形態の散乱があります。たとえば、大気の酸素や窒素のような極微小な粒子に対しては、青い光は強く散乱し、赤の光はあまり散乱されない性質があります。これをレイリー散乱といいます。青空は青の光を大きく散乱させるこのレイリー散乱が演出しているのです。
ちなみに、夕日が赤いのもレイリー散乱の仕業(しわざ)です。夕方、太陽光は大気を通過する距離が長くなるので、青の光は散乱を繰り返して減衰し、赤の光だけが目に届くからです。