恒星から近すぎず、遠すぎず。ほどよい距離が生命生存の鍵/身近な科学

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※この記事は『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(涌井貞美/KADOKAWA)からの抜粋です。

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生物が生きる条件をそなえた「ハビタブルゾーン」。
地球外生命体の発見はもうすぐ?

2016年、「知的生命体からの電波を検出した」という噂がインターネット上を駆け巡りました。「ある恒星から知的生命が発したと思われる強い電波を受けた」とロシアの天文台が発表したのです。結局誤りだったのですが、多くの系外惑星が発見されている現在、この報道が真実になる日は近いと考える人も増えています。

関連記事:「灼熱環境、楕円の軌道...。太陽以外の星を回る個性豊かな惑星/身近な科学(33)」

知的生命でなくとも、系外惑星に生命が存在するかどうかは大きな関心事です。では、どうやって存在を確認できるのでしょうか。


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まず、系外惑星と恒星の距離がほどよいことが条件です。惑星の表面温度が適温で液体の海が存在できる軌道にある必要があるからです。こうした生命の生存に適した領域をハビタブルゾーンと呼びます。

系外惑星がこのゾーンにあるなら、次に観測すべきはそこに酸素有機物があるかどうか。これは惑星からの光を調べればわかります。存在すれば、酸素や有機物固有の光が観測されるからです。また、植物の葉は可視光(かしこう)と赤外線の境界付近で反射率が急変します。この特性を観測できれば、地球型の植物が繁茂していることになります。

まだ地球外生命体の発見には至っていませんが、その準備は着々と整えられています。

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次の記事「実はすでに爆発している? オリオン座から聞こえる断末魔の叫び/身近な科学(39)」はこちら。

 

 

涌井貞美(わくい さだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。著書は、『図解 身近な科学 信じられない本当の話』『雑学科学読本 身のまわりのすごい技術大百科』(以上KADOKAWA)、『Excelでわかるディープラーニング超入門』『ディープラーニングがわかる数学入門』(以上、技術評論社)、『「物理・化学」の法則・原理・公式がまとめてわかる事典』(ベレ出版)、『図解・ベイズ統計「超」入門』(SBクリエイティブ)など多数。

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『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』

(涌井貞美/KADOKAWA)

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この記事は書籍『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』からの抜粋です。

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