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※この記事は『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(涌井貞美/KADOKAWA)からの抜粋です。
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実は地球が"特別"だった。
月ではなぜ昼でも空が真っ暗なの?
1961年、史上初めて大気圏(たいきけん)外を飛んだロシア人ガガーリンは、地球が青く見えることを世界に伝えました。8年後、米国のアポロ11号が史上初の月面着陸に成功したときには、アームストロング船長は月の空が真っ暗であることを伝えています。多くの人はその対比に驚くとともに、「なぜ月の空は真っ暗なの?」という疑問を持ちました。
この答えは光の性質にあります。地球の空は空気や微粒子(びりゅうし)で満たされていて、光を散乱させます。そのため、太陽の光は空全体に広がり、あらゆる方向から人を照らします。空が明るいのはこのためです。
しかし、ほぼ真空に包まれた月では、太陽からの光は一直線に月面を照らすだけなので、陽光そのものしか目に入りません。したがって、空は真っ暗に見えるのです。
以上の理屈は簡単に実験できます。
用意するのはスマホと水道水入りの透明ペットボトル。真っ暗な部屋でスマホのライトをつけてみると、照らされた部分だけが明るくなりますが、部屋は暗いままです。では、そのライトの上にペットボトルを置いてみましょう。中の水で光は散乱され、部屋全体が明るくなります。この水の役割を果たすのが、地球の空気なのです。
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