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※この記事は『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(涌井貞美/KADOKAWA)からの抜粋です。
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「ジオイド」で定義される地球の姿
地球は「洋ナシ形」をしている
地球がほぼ球形であることは古代ギリシア時代には知られていました。紀元前3世紀、学者エラトステネスは地球の1周が4万キロであることもほぼ正確に測定しています。
ところで、「球」の字が付けられた地球ですが、本当に球体なのでしょうか。そもそも、山あり谷ありのでこぼこした「地球の形」はどう定義すべきなのでしょう。
「地球の形」はジオイドと呼ばれる1枚の曲面で定義されています。このジオイドは、地球表面の7割を占める海面では、平均海水面と定義されます。地球の中心を指す重力に垂直になる海水面の性質に注目したのです。また、陸上では、そこに仮想(かそう)的に運河を設け、海から海水を注入した場合に得られる平均海水面と定義されます。こうして、海上と陸上で定義された連続的な1枚の曲面ジオイドこそが、地球の形と考えられるのです。
ジオイドを眺めると、実は球ではなく「洋ナシ」の形をしています。球にならない原因の1つは地球の自転にあります。遠心力が働くため、赤道面で膨れ上がっているのです。地下物質の不均一(ふきんいつ)性が重力の違いを生み、球にはなれなかったとも考えられます。ちなみに、地球を「洋ナシ」にたとえたのは2018年に逝去した天文学者・古在由秀(こざいよしひで)氏です。
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