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※この記事は『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(涌井貞美/KADOKAWA)からの抜粋です。
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共生する細菌が真核(しんかく)生物をつくった!?
人間は〝合体生物〟だった
前の記事で、真核生物と原核生物が大きく異なることを説明しましたが、この違いがいかに大きいかを理解するには、米国の生物学者マーグリスの内部共生説を知る必要があります。
内部共生説は、真核生物の起源を説明する考え方です。簡単にいうと「真核生物は、原核生物に別の原核生物が侵入し、そのまま共生したもの」ということ。要するに、真核生物は原核生物の〝合体生物〟なのです。
この説を用いて、真核生物のミドリムシがどのように原核生物から進化したかを追ってみましょう。生命誕生時の地球には酸素はありませんでした。やがて光合成し酸素をつくり出す細菌が生まれます。すると、その酸素を使って活動する好気性(こうきせい)細菌が誕生し、さらにこの好気性細菌を取り込んだ真核生物が誕生します。以後、さまざまな細菌を取り込んで、自由に動き回り光合成もできるミドリムシが誕生したと考えられます。
人も、こうした過程をたどり細菌が共生し合ってできた合体生物と考えられています。
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