意識、感覚、感情、思考、意欲。私たちの心の5つの領域を知る/これも修行のうち。

pixta_29740348_S.jpg人間関係、失敗、病気、心配事......生きていれば必ず起こるあらゆるツライことを「上手に消す」心の習慣とは? それは「これも修行のうち」と捉えてみること。

「不安」も「怒り」もすべて妄想だったと気づけるプチ修行の方法を本書『これも修行のうち。』から学びましょう。

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前の記事「「自分の人生のゴール」への見通しがつくと人生ラクになる/これも修行のうち。(4)」はこちら。

 

人生の同伴者"自分の心"を知っておく

どんな毎日も、大きなゴールにたどり着く"道の途中"――そんな生き方も可能なのかな、と思い始めたら、今度は道をお伴する「自分の心」を理解しておきましょう。「心」は、いわば一生お付き合いするパートナーです。心しだいで、見える景色も、人生も、いかようにも変わります。だから「心の正体」を知っておくことは、とても重要なのです。

驚くかもしれませんが――ブッダの教えによれば、「心には、なんと五種類ある」のです。

 

ブッダ驚きの智慧――心は「ひとつ」ではない!?

世間では、「心」を曖昧にとらえています。心理学でも、生物学でも、その他の分野でも、「心」そのものを明快に定義した言葉は、ほとんど見当たりません。

仏教では、生命の本質を、心・体・関係性――の三つでとらえます。このうち心とは、ひとことでいえば"反応"のこと。

この反応は、五つの種類に分けられます――つまり、(1)感覚、(2)感情、(3)思考、(4)意欲、(5)意識、です。

このうち"意識"は、心の底を流れ続けるエネルギーです。まだ感情や思考などの反応が生まれる前の"反応の素(もと)"みたいなもの。ニュートラルで、まだ怒りや妄想といった「煩悩」になる前の、きれいな状態の流れです。

この"意識"が外の刺激に触れたときに、感覚・感情・思考・意欲という四つの反応を作り出します。私たちの日頃の悩みは、この四つのいずれかに、実は属します。

"感覚"とは、目・耳・鼻・舌・肌の五官を通して生まれるもの。映像(視覚)、音楽(聴覚)、食事(味覚)、香り(嗅覚)、ぬくもりや触覚や、カラダを動かして感じる感覚などです。

"感情"は"快"か"不快"かという反応です。喜びや怒り、悲しみや楽しさなど、さまざまな反応があります。

"思考"とは、脳で考えることすべて――仕事の段取りを考える。過去を思い出す。余計な妄想をして、不安や心配を作り出す。これらはすべて"思考"の産物です。

"意欲"は、何かを手に入れたい・行動したいというエネルギーのことです。食欲などの単純な欲求のほか、ヤル気や願望・情熱などの前向きなモチベーション、さらには、つい腹を立てて言葉や行動に出してしまう、といったネガティブな衝動も含まれます。

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この「五つの心の領域」こそが、ふだんの「私」と「心」の正体です。これは日本で有名な「般若心経」にも実は書いてあります(色即是空(しきそくぜくう)。受想行識亦復如是(じゅそうぎょうしきやくぶにょぜ)――これでは何を言ってるのか、わかりませんが)。

同じことは、原始仏教(ブッダの教えに最も近いとされる最古の仏教思想)でも語られています。

「感覚は無常――実体のない、うつろいゆく現象――である。感情という心の働きも、思考も、意欲も、意識もまた無常である。無常であるものは"わたし"ではない、と観察して、執(とら)われを離れる。執われを離れた心は、安らぎと清浄と自由の中にある」――サンユッタ・ニカーヤ

つまり、これら五つの心の領域に生まれる思い(精神現象)は"無常"である。これらは、反応を繰り返さなければ、やがて消える。だから執着(こだわり)をなくせば、一切の苦しみは消えていく、という真実を伝えています。

 

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草薙 龍瞬(くさなぎ・りゅうしゅん)

僧侶、興道の里代表。1969年、奈良県生まれ。中学中退後、16歳で家出・上京。放浪ののち、大検(高認)を経て東大法学部卒業。現在、インドで仏教徒とともに社会改善NGOと幼稚園を運営するほか、日本では宗派に属さず、実用的な仏教の「本質」を、仕事や人間関係、生き方全般にわたって伝える活動をしている。著書に『悩んで動けない人が一歩踏み出せる方法』(WAVE出版)、『独学でも東大に行けた超合理的勉強法』(サンマーク出版)、『消したくても消えない「雑念」がスーッと消える本』(大和出版)がある。

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『これも修行のうち。』
草薙龍瞬/ KADOKAWA)

人間関係、失敗、病気、心配事......あらゆるツライことを「上手に消す」心の習慣があります。それは、「これも修行のうち」と捉えてみること。イヤなことは「自分を磨く」ツールになる。ベストセラー『反応しない練習』の著者が教える、日常生活、仕事で使えるプチ修行50!

『これも修行のうち。』

 

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この記事は書籍『これも修行のうち。』からの抜粋です
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