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日本の「折り紙」技術が宇宙で応用されている!?
紙を「折る」という手法で、さまざまな形をつくり出す「折り紙」。その始まりは、供物や贈り物を包んだとき、美しく折って飾るための「儀礼折」とされている。
その後、江戸時代になって紙の生産量が増えたこともあり、折り方そのものを楽しむアートとして、広く庶民のあいだに浸透。明治時代に入ると幼稚園教育にも取り入れられ、現在では世界各地で愛好されている。
このように、伝統的なアートとしてのイメージが強い折り紙だが、最近では本格的な数学的解析のテーマとして取り上げられている。クルマのエアバッグから変形するロボットから、人体組織工学にいたるまで、折り紙の発想と現代のテクノロジーが統合されることで、新たな成果が次々に生まれつつある。
じつは、この折り紙の技術は宇宙開発にも応用されており、アメリカ航空宇宙局(NASA-ナサ)からも注目されるテクノロジーの一つとなっている。
その代表例が、東大名誉教授の三浦公亮(こうりょう)氏が考案した「ミウラ折り」だ。縦の折り目にジグザグに傾斜をつけることにより、折り目が重ならずコンパクトにおさまる特殊な折り方で、折り畳んだ一端を引くだけで、全体を一気に開けるという特徴がある。
この画期的な折り方は、1995年に打ち上げられた日本の科学衛星「宇宙実験・観測フリーフライヤ」の太陽電池に採用され、大きな成果を上げた。技術的に見ると、いまだ開発の初期段階といわれているが、その可能性には大きな期待が寄せられている。
2014年にNASAのエンジニアが行なった発表によると、将来、金星上空にミウラ折りの技術を応用した浮遊基地を建設する構想が練られているということだ。