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カマキリのメスは交尾後にオスを食べることで知られているが、クモにも交尾のあとに強烈な行動をとる種がいる。
一部のオスのクモは、交尾すると自分の触肢(しょくし)≪頭に生えている触覚のような部分≫を切り離してメスの交尾管に栓(せん)をし、その後にメスが交尾できないようにする。触肢といっても、これがなくては交尾できないので、オスにとっては自分を去勢することになる。だが、メスがほかのオスと交尾すると、自分の精子は子孫を残せなくなるかもしれない。「それならば」とオスは捨て身の行動に走り、メスがほかのオスと交尾するのを阻止するのだ。
もっと極端な行動に出るのが、シベリアや東ヨーロッパに生息するキタコガネグモダマシのオスだ。このクモの交尾は、オスが触肢でメスの交尾器のふくらみを上下からつかみ、生殖孔に精子を送り込んで行なわれる。そして交尾を終えたオスは、メスの交尾器のふくらみをつかんで、ねじ切ってしまうのだ。そのふくらみがなければ交尾には至らないため、そのメスは二度と交尾ができない。キタコガネグモダマシのオスは、自分ではなくメスの体を傷つけて、自分の子孫を確実に残そうとするのだ。交尾器に同じようなふくらみのあるクモは、ほかにも80種ほど確認されている。そのため、このような行動を取るクモはほかにもいると考えられている。
とんでもない凶悪な行為だと思うところだが、キタコガネグモダマシのメスにとって、これがどの程度のダメージなのかはわからない。生物の課題は、繁殖を成功させること。研究者は現在、キタコガネグモダマシの繁殖率と、オスとメスそれぞれの平均寿命を調査中だという。
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『人類なら知っておきたい 地球の雑学』
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