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市販薬の多くはなぜ「15歳以上」が大人扱いなのか
ドラッグストアで薬を買って「使用上の注意」を読むと、大人の枠に「15歳以上」と書かれている。法律上の成人は20歳以上だが、15歳といえばもう大人並みの体格で、中高年よりよっぽど頑丈そうだから、大人と同じ量の薬を飲んでいいということだろうか。
薬局やドラッグストアで買える市販薬の多くは、年齢を基準にした用法・用量が定められている。ほとんどの薬は15歳以上が大人という扱いで、確かに15歳の子どもは大人同様の体つきになっている。だが薬の場合は、それよりも体の"内側"のことを考え、こうした基準が設けられているのだ。
薬を吸収して効果を発揮させるのは内臓のはたらきで、役割を終えた薬は体外へ排出されなくてはならない。だが、子どものうちは体が大きくても内臓のはたらきは成人並みとはかぎらず、特に薬を分解して体外へ出すための肝臓や腎臓の機能が十分ではないため、副作用が出やすい。また、薬の影響を受けやすい脳も未発達である。
人間の体の発育は、外側から見ただけではわからないのだ。
代謝や排泄機能に関わる臓器が、大人並みに成長する目安の年齢が15歳。そのため、市販薬は15歳を大人としているのだ。だから、「小児用の分量を飲ませたのに効かないから、もう少し飲ませよう」「うちの子は13歳だけど、身長も体重も大人以上だから、大人のぶんを飲ませよう」などと考えてはいけない。
15歳になるまで飲んではいけない薬や、年齢ではなく体重ごとの用量が定められている薬もある。
高齢になるにつれ体の負担を軽くするよう、用量を減らす薬もある。「使用上の注意」をしっかりと読んでから服用することを心がけたい。