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恐竜の王者ティラノサウルスは俊足ではなかった!?
ティラノサウルスは白亜紀後期、北アメリカに生息していた地球上で最大の肉食恐竜である。1メートル以上にもなるあごが特徴で、噛(か)む力(咬合(こうごう)力)は3万5000~5万7000ニュートン。人間の男性の噛む力は平均261ニュートン、女性は173ニュートンであることからも、そのすさまじい力を想像することができる。
ほかにも、ティラノサウルスは体長およそ12メートル、体高4.6~6メートルだったことが化石によって明らかになっているが、走る速度については、古生物学者のあいだで長きにわたって論争が繰り広げられてきた。これまでの推定によると、最高時速は18~54キロメートル。世界最速の人間でも時速約37キロメートルであることから、仮に人間がティラノサウルスに追いかけられた場合、走って逃げることは難しいとされた。
しかし、コンピューター・モデルを使った最新の研究によって、ティラノサウルスは広く信じられているほど俊足ではなかったことが明らかになってきている。
英マンチェスター大学の古生物学者ウィリアム・セラーズ氏らの研究チームが、新たなモデルを開発するにあたって考慮した要素は、骨にかかる「応力」だ。応力とは、単位面積あたりに作用する力の大きさのこと。骨は、走っているときにある程度までの負荷には耐えられるが、それを超えると砕けてしまうことから、この数値を計算に入れ、解析を行なったのである。
その結果、ティラノサウルスの走る速さは最高でも時速27キロメートル前後。それ以上の速度で走った場合、足の骨が粉々に砕けてしまうことが判明したのである。
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『人類なら知っておきたい 地球の雑学』
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