仕事や家庭で、自分の言いたいことがうまく伝えられない。それは、「正しい伝え方」ができていないからかもしれません。そんな悩みが解決できるテクニックがまとめられた書籍『新装版「分かりやすい表現」の技術 意図を正しく伝えるための16のルール』(藤沢浩治/文響社)から、「正しく伝わる表現方法」を一部抜粋してご紹介します。
「見分けやすさ」を追求する
視覚的な「見やすさ」は、「分かりやすさ」に直結します。
どんなに情報構造を整理、単純化しても、見にくい表現では、当然、分かりにくくなってしまいます。
ここでいう見やすさとは「見分けやすさ」です。
見分けるとは「グループ分けが見える」ことで、「情報構造が明示されていること」と、ほとんど同じ意味です。
したがって、見やすくするには、グループ分けがよく見えるように工夫すればよいのです。
例3―37(違反例)は東京の地下鉄永田町駅の案内板で、どこの駅でもよく見かける例です。
初めて上京し、南北線に行きたい人の気持ちになってみましょう。
右に行けばよいのか、左に行くのか。
もし遅刻しそうで慌てている状況なら、南北線に近い矢印は左を指しているので、左方向に走り出したくなります。
ところが冷静に落ち着いて案内板全体を見渡すと、上の「右へ行くグループ」と、下の「左に行くグループ」に分かれているらしいことに気づきます。
南北線は遠い矢印の右行きグループに属しているらしいのです。
しかし、冷静に観察しないと意図が伝わらない案内板は不合格品質です。
「グループ分け不全症候群」なのです。
改善例では、枠でグループ分けしてあるため、瞬時に南北線へは右に行くことが分かります。
ある複数枚のカードとその番号とを表示したものが例3―38です。
たとえば13という数字が上のカードを指しているのか、下のカードを指しているのか、瞬時には分かりません。
いちばん上の段、あるいはいちばん下の段を眺めて初めて「各カードの番号は、そのカード自身の上にある」という法則を把握できるのです。
このように「魔の中間危険地帯(どっちつかずの中間)」に標示すると、分かりにくくなります。
改善例のようにすれば、瞬時にカードと番号の関係が把握でき、分かりやすいのです。
「場合分け」は図解する
例3―39は、同僚から渡されたメモです。
飲み会の幹事をしていた同僚です。
しかし読んだ私は、頼まれ事が即座には理解できず「何だこれは?」と思いました。
そこで改善例を作ってみました。
同じグループ分けでもこのような「場合分け」は、文章で表現するより、単純な図解のほうが、視覚効果で分かりやすくなるのです。
視覚効果を考慮することは「分かりやすい表現」の重要なポイントです。
分かりやすい表現のルール「視覚特性(見やすさ)を重視せよ。」
【最初から読む】大切なのはサービス精神!読み手への配慮がわかりやすさを生む
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ベストセラーの新装版。分かりにくい表現16の原因と解決方法を全4章で紹介しています