温泉や入浴には、生活習慣病や体の痛みの改善、良質な眠りをもたらすなど、健康な体を維持する効果がさまざまあります。
期待できる効能で温泉を選んでみたり、自宅でできる、健康な体づくりにぴったりな入浴法を行ってみるのもおすすめです。
今回は、温浴で体温を上げるHSP入浴法について、HSPプロジェクト研究所所長の伊藤要子先生にお話を伺いました。
温浴で、健康の見張り番HSPを増やす
ヒートショックプロテイン(以下HSP)をご存じでしょうか?
これは、熱や紫外線、病原菌などさまざまなストレスを受けると、そのストレスから細胞を守るために生まれるたんぱく質のこと。
体内でHSPが増えると、傷ついた細胞を修復して細胞を元気にします。
また、免疫力を上げる、代謝を良くするなどの働きもあり、健康の見張り番のようなもの。
HSPは元々体内にありますが、加齢とともに減少してしまうため、効率的に増やすことが大切です。
「HSPは熱をはじめ、さまざまなストレスで増え、特に〝熱を負荷する〟、つまり体に熱を加えることで生産量が増加します。その仕組みを利用したのが、40~42℃というマイルドな加温で安全にHSPを増やす〝HSP入浴法〟です」と、伊藤要子先生。
HSP入浴法は、適度なストレスを与えることでHSPを増やす方法です。
細胞がストレスと感じるような熱を加えると、熱ストレスから防御しようとHSPが増産されます。
このとき、温度は42℃、ちょっと熱めの湯が適温。
また、40~41℃で加温時間を長くすることでもHSPは増加します。
手軽にHSPを増やせる入浴法、早速試してみましょう。
●入浴で増えるヒートショックプロテイン(HSP)とは
ヒートショックプロテイン(HSP)とは、ストレスで傷んだ細胞を修復する働きを持つたんぱく質のこと。
HSPを自分で増やして自己回復力を上げることで、病気の予防や美肌など、元気な体づくりに役立ちます。
●HSPが増えると、どんなことが期待できるの?
・低体温の改善
・免疫力のアップ
・疲労回復
・かぜなどの感染症予防
・代謝が良くなる
・美肌づくり
・睡眠リズムを整える
・ストレスを防ぐ など
入浴&入浴後の保温が体温アップの秘けつ
HSPを増やす入浴法では湯温は40~42℃に設定。
この状態で肩まで湯に5~10分浸かると、自然と体温は1℃ほど上昇します。
この後、必要時間経過まで入浴。
舌下温を測り、体温が1.5~2℃上がったら終了。
途中、湯から出てもかまいません(入浴時間に含まない)。
体力に自信のない人、初めての人は、40℃での半身浴で心地良い長さからはじめ、少しずつ入浴時間を延ばしましょう。
「最も大切なのは保温。体温を37℃以上に保ち体に熱をこもらせることで体内のHSPが増えるので、浴後は暖かい部屋で保温を。水分補給は、常温か温かい飲み物でしてください」と、伊藤先生。
入浴で増えたHSPは浴後2日目に最もそのパワーが増し、1週間後に元に戻ります。
よって、〝元気になりたい日〟から逆算して試すのもいいですね。この入浴法は週2回(例:土・水など)が最適。
HSPを増やして元気な体を維持しましょう。
●入浴でHSPを増やしましょう!体温を38℃に上げるには
湯の温度/入浴時間
42℃/10分
41℃/15分
40℃/20分 ※炭酸入浴剤使用の場合は、15分でもOK
※入浴時間は、湯に浸かっている時間のこと。
途中で湯船から出た場合は、その時間を差し引きます。
半身浴の場合は、3~5分長めに入浴を。
●週2回でOK!入浴方法
準備
・浴室にシャワーをかけるなどして浴室を暖める
・バスタオルはすぐ手の届く所に置く
・水分補給をする。お風呂に飲み物を持ち込むのも良い
入浴
・手、足など心臓に遠いところからかけ湯をする
・浴槽には、足、手、体の順にゆっくり浸かる
・湯に浸かりながら舌下温を測る。38℃になるのが理想
保温
・体をよく拭き、下着を着る
・室温を20℃程度(冬場)にし、暖かな服装で10~15分休息
・室温程度の飲み物(水、 お茶、スポーツドリンクなど)で水分補給をする
取材・文/笑(寳田真由美) イラスト/末続あけみ