冬の愉しみ、それは湯に癒されること。
温泉や入浴には、生活習慣病や体の痛みの改善、良質な眠りをもたらすなど健康な体を維持する効果がさまざまあります。
温泉で、湯の恵みを満喫しましょう。
今回は、秋田県の雪
肌に優しいと評判の秘湯。その理由は特殊な泉質
秋田杉に囲まれた閑静な地に立つ「白神矢立(しらかみやたて)湯源郷の宿 日景(ひかげ)温泉」(以下、「日景温泉」)は、およそ130年前の開湯より、「三日一廻りの霊泉」と呼ばれ親しまれてきました。
とりわけ、皮膚の傷や病気に悩む人の肌に優しいと、全国各地から度々訪れる人も多い湯処です。
「ここの湯が肌に優しいとされるのは、独特な泉質のおかげ」と言うのは、「日景温泉」の代表取締役・石川 崇さん。
「カルシウムやナトリウムの含有量が多く、温泉自体の濃度が高いのが特長です。そのため、源泉から浴場まで温泉を引くための配管は、1カ月もすると温泉成分がぎっしり詰まり動かなくなってしまうほど。手入れは大変ですが、その分、ほかにはない湯の恵みを体感いただけます」
「日景温泉」の湯は複数の温泉成分がミックスされた特殊な泉質。
複数の成分が混ざった温泉とはどんな意味があるのか、詳しく紹介しましょう。
3月下旬頃までは、しんしんと降る雪の中、展望露天風呂「うるげる湯っこ」へ。
「うるげる」とは、秋田の言葉で「ふやける」という意味。
肌がふやけるまで、ゆっくりと湯を楽しみたい。
自然の恵みが生み出した複数の成分が混在する湯
「日景温泉」の起こりは、明治初期にまで遡ります。
「この地に自噴する湯が発見されたのが明治初期のこと。当時から、皮膚に効く薬湯として地域の人々に愛されていました。水疱瘡の痕やかぶれなどの症状も、ここの湯にしばらく浸かっていると良くなったとされ、万能の湯と言われたそうです」と、石川さん。
冬は雪見風呂を楽しめる展望露天風呂「うるげる湯っこ」の正式な泉質は、"含硫黄(硫化水素型)・二酸化炭素ーナトリウムー塩化物温泉"というもの。
この泉質名から分かるのは、複数の温泉成分が含まれた効能豊かな湯だということ。
詳しくみると、糖尿病などの生活習慣病や皮膚病に良いとされる硫黄泉、炭酸ガスを含み高血圧や動脈硬化を改善するとされる二酸化炭素泉、保温・保湿効果に優れている塩化物泉の3つの効能が期待できます。
実は、日本各地にこういった複数の泉質を持つ温泉はたくさんあります。
泉質によって効能はさまざまなので、温泉に出かける際は、泉質に注目して選んでみるのもいいでしょう。
もう一つの展望露天風呂「あんべいい湯っこ」。
昼は白神矢立の山並を、夜は星空を眺めながら湯に浸かることができる。
取材・文/笑(寳田真由美) 撮影/斎藤大地