肩や首のコリ、目疲れや肌あれ・・・年齢を重ねるごとに増えていく体の不調。これらを解消するのに外せないのが、毎日入る「お風呂」でしょう。医学的にお風呂を研究する医師・早坂信哉さんは「入浴方法を少し変えれば、さらなる健康効果が期待できる」と言います。そこで、早坂さんの著書『最高の入浴法~お風呂研究20年、3万人を調査した医師が考案』(大和書房)から、「疲労回復できる入浴法」のエッセンスを連載形式でお届け。今夜からお風呂の時間が劇的に変わります。
イラスト/二階堂ちはる
「生理痛・PMS・更年期障害」に効く入浴法
血流をよくして、副交感神経をリラックスさせる。
● 生理中の入浴もOK。痛みやイライラをやわらげる効果アリ。
● 更年期障害は男性にもある。男性ホルモンの減少で様々な不調が出ることも。
生理痛やPMSなどの月経前後の体調不良には入浴が効果的にはたらきます。
月経前後には、ホルモンバランスの崩れ、子宮の変化などで、頭痛や吐き気、イライラやうつ症状などが起こります。
その際、入浴の温熱効果で血流をよくして、リラックスすることで症状をやわらげることができるのです。
生理が始まったら、初日はシャワー程度で済ませていただきたいのですが、3~4日目からは湯船に入って体を温めましょう。
40℃のお湯に15分浸かり、出る直前に42℃のお湯で追い炊きをして、下半身をしっかりと温めてあげてください。
生理中の入浴はタブーではなく、入ってもまったく問題はありません。
経血が流れ出てしまう不安があるかもしれませんが、湯船の中では水圧で抑えられているので、出てくることはありません(湯船から上がるときに流れ出る可能性はあります)。
家族と暮らしている方であれば、入浴の順番を最後にするなどの工夫をすれば大丈夫でしょう。
生理痛やPMSは、女性、特に症状が重い人にとってはかなりの精神的ストレスになります。
お風呂にゆっくり浸かり、痛みをやわらげてください。
更年期障害
主に女性の閉経前後、ホルモンバランスが乱れることで自律神経のはたらきが悪くなることを「更年期障害」と呼びます。
頭痛やめまい、肩こりなどの身体的な症状から、うつやイライラなどの精神的なものまで、個人差はありますが、様々な不調が起こります。
更年期障害についてのある研究によれば「40℃のお風呂に毎日5分→5分→10分と反復して入ることで、症状が改善された」というものがあります。
更年期障害というと、一般的に女性のイメージが強いですが、近年では男性の患者さんも増えています。
男性ホルモンの減少による自律神経失調が原因です。
男女ともに、更年期障害は自律神経の乱れからくるもの。
そのはたらきを正常に戻すように、毎日決まった時間にお風呂に入り、しっかりと睡眠をとり、規則正しい生活を送ることで生体リズムを整えましょう。
※お湯の温度は、1℃の違いで体に与える効果が変わります。自宅の浴槽に温度調節機能がない場合は、お風呂用の「湯温計」のご利用をおすすめします。ホームセンターや、デパートのベビー用品コーナーなどで販売されています。
※掲載されている入浴法は、様々な医学的研究の結果から、その効果が一般的に期待されるものです。ただし、個人の体質や疾患の性質により、その効果には個人差があります。症状が緩和しない場合、主治医に相談してください。
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