毎秒250回! ハチが高速で羽ばたけるのは筋肉の伸縮のおかげ/身近な科学

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※この記事は『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(涌井貞美/KADOKAWA)からの抜粋です。

毎秒250回! ハチが高速で羽ばたけるのは筋肉の伸縮のおかげ/身近な科学 pixta_15052461_S.jpg前の記事「遺伝子レベルで欠損あり。肉食動物に"甘党"がいないワケ/身近な科学(7)」はこちら。

 

揚力(ようりょく)を得るために進化した独特の飛翔法
昆虫が高速で羽を震わせられるワケ

初夏の野原では、ハチが毎秒250回もの高速で羽ばたき、ブーンという羽音を出して飛び回っています。ハチは、どうしてあんなに速く羽を震わせられるのでしょうか。

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小昆虫は、高速で羽ばたかないと飛ぶことができません。小さな羽では大きな揚力[浮揚(ふよう)する力]が得られないからです。そこで、小昆虫は独特の飛翔法を進化させました。

小昆虫には、頭部から腹部に走る飛翔筋(きん)(図のDLM)と、背中側から脚側に走る飛翔筋(図のDVM)の2つの飛翔筋があります。

毎秒250回! ハチが高速で羽ばたけるのは筋肉の伸縮のおかげ/身近な科学 p031.jpgこれら2つの飛翔筋は、互いに反対の動作をします。たとえばDVMが収縮すると胸部の外(がい)骨格が横に伸び、DLMが引き伸ばされます。すると、「伸張(しんちょう)による活性化」という筋肉の特性が働きます。「伸張による活性化」とは、筋肉を強制的に引っ張ると収縮しようとする性質です。引き伸ばされたDLMは、その活性化のためにすぐ収縮します。

すると、今度は外骨格が縦に伸びてDVMが引き伸ばされます。するとDVMに「伸張による活性化」が働き、収縮しようとします。

このように、2つの飛翔筋が交互に収縮と伸張を繰り返し、小昆虫は自律的に高速に羽ばたくことができるのです。これが、ハチが出すブーンという羽音の秘密です。

 

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涌井貞美(わくい さだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。著書は、『図解 身近な科学 信じられない本当の話』『雑学科学読本 身のまわりのすごい技術大百科』(以上KADOKAWA)、『Excelでわかるディープラーニング超入門』『ディープラーニングがわかる数学入門』(以上、技術評論社)、『「物理・化学」の法則・原理・公式がまとめてわかる事典』(ベレ出版)、『図解・ベイズ統計「超」入門』(SBクリエイティブ)など多数。

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『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』

(涌井貞美/KADOKAWA)

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この記事は書籍『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』からの抜粋です。

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